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診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
8:30~12:30 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
13:30~20:30 | ○ | ○ | ○ | - | ○ | ○ |
3年前から胃潰瘍による痛みに悩まされているが、いっこうに良くならない 58才 男性
会社の営業を主とした中間管理職である。日常生活が不摂生で仕事のストレスも加わってタバコ酒ともに量が多かった為、10年以上前から悪心、嘔吐、胸焼け、食欲不振、腹痛などを繰り返すようになった。3年ほど前からお腹と背中に空腹時に痛みが出るようになり、胃潰瘍と診断され治療をおこなっている。時に強い痛みが出ることもあり総合病院や専門病院にも行っているがいっこうに治る様子がない。「鍼灸治療でなんとかならないだろうか」とのお話であった。
■診察
[ 初診 ]
痩せ型で皮膚が浅黒い。腹部に圧痛がみられ特に心下部は固い。背部と肩甲骨の内側にも顕著な圧痛と自発痛がある。胸焼けとげっぷがよく出るが食欲はある。なにかしらの痛みは常にお腹と背中に感じている。東洋医学による脈や舌やお腹の触診と、遠絡療法の病態把握から、迷走神経や自律神経神経の調節と肩や肩甲骨間などの凝りや緊張をとることとし、 治療は遠絡療法と東洋医学的な診断に基づいた鍼灸治療を組み合わせておこなった。治療直後は体が大変軽くなり痛みが無いとのお話であった。食事は1日6回食ただし仕事があるので努力目標とした。2ヶ月間は週2回の治療を続け、それ以後の治療間隔はその時の残症状で決めることとした。
[ 4回目 ]
治療を開始してから体が軽い感じがする。げっぷの回数が減った。肩甲骨間に常に有ったしつこい痛みが消えた。
[ 16回目 ]
胸焼けとげっぷがほとんど治まっている。空腹時の痛みも感じない。自覚症状がほとんど無い。数日前に胃カメラによる検査をし潰瘍は殆ど治っているが胃炎が少しあると言われた。その後も体調管理のための継続的な治療をおこなっている。
[ 考察]
現在鍼灸院を訪れる患者の疾患は肩こりや腰痛・膝関節痛・神経痛などの整形外科・運動器系の疾患が大半である。しかし鍼灸治療の本来の醍醐味は内臓系疾患であり、精神科・心療内科系の疾患である。鍼灸治療の適応範囲がせばめられて、正しい姿が伝わっていないことは医療面でも大きな損失だと思える。