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胸椎・腰椎10箇所にわたる広範囲な圧迫骨折による、背中から腰の痛みと足に力が入らない症状

2年ほど前から圧迫骨折を繰り返すようになり、現在は胸椎、腰椎合わせて10箇所もの圧迫骨折で苦しんでいるという患者様が来院された。MRIとXーP撮影によるフィルムを持参されて見せていただいたが、確かに私の目で確認できるだけでも胸椎10番から腰椎3番あたりまで連なって椎体が潰れている。またMRIのフィルムでは脊髄の通りがかなり狭くなっている所も数箇所確認できる。特に腰椎2番3番あたりの狭小が顕著である。痛いながらもよくこの状態で歩けることと感心させられた。既往として背骨を特に打ったことも無く、運動も人並みには動いており、食べ物も好き嫌い無く食べてきたとの事で、なぜこのように広範囲な圧迫骨折になったのかご本人も思い当たる原因が無い。当然骨粗しょう症ということで、骨粗しょう症のフォルテオと言う薬の皮下注射を毎日している。また整形外科で鎮痛注射も週1回ずっとおこなっている。さらに内科で背中に毎日電気治療をおこなっている。しかし背中から臀部にかけて左右差無く常に痛みと締め付け感が甚だしい。また歩くと両大腿部の前側を中心に、足全体に力が入らず雲の上を歩いているような感じで痺れがある。既往歴として乳癌の手術を35年前におこなった。

■診察
[ 初診 ]
初診時の背中の痛みの中心は胸椎12番、腰椎1番、2番あたりであり、この背中の痛みが日常生活を最も苦しめているとのことである。初診時はこの部の痛みを軽減させることを主にした。治療は鍼灸治療を中心におこなった。

[ 2回目 ]
4日後来院された。前回の治療で主訴であった背中の痛みが10→5へと半減した。背中の痛みが軽くなったぶん、両足のだるさを強く感じるとのお話であった。痛みのメカニズムは常にこういった仕組みになっており、初診時に重点的に治療した胸椎12番から腰椎2番あたりは、触診してもその効果を確かめることが出来た。2回目の治療は両下肢、特に大腿部前側に力が入らないという訴えに重点を置いて治療をおこなった。

[ 3回目 ]
前回の治療で両下肢は歩いても少し力が入るようになり、痺れ感が軽くなった。背中の痛みが随分楽になって日常動作がかなり楽とのことである。腰全体の締め付け感とだるさが消失している。

[ 4回目 ]
初診時の主訴であった背中の痛みは消失した。
下肢の痺れ10→4に

[ 5回目 ]
当初は大腿部を中心に力が入ら無かったが、今は大腿部は楽になり、下腿前面部部のだるさと痺れに愁訴は変化している。

[ 6回目 ]
下腿前面部のだるさと痺れは軽くなり、下腿後面部にだるさが移動。

[ 7回目 ]
背中、腰、臀部の痛み消失。下肢のだるさ、痺れ、歩行時に力が入らないなどの症状もほぼ消失した。日常生活での動作が大変楽になったようである。
西洋医学的にはなかなか手の打ちようがなく、2年間苦しみ、患者様ご本人もほぼ諦めていたような症状が、当院でのたった7回の治療で消失した。

■考察
私は病院勤めが長かったせいで、圧迫骨折を随分診て来た。中には整形外科医と一緒にXPやMRI写真をみて、ひどい状態に驚いたことがある。またこの症例のように骨粗しょう症で、圧迫骨折部が連なっており、手術の使用が無いと医師から相談を受けたことがある。またベッドに寝たきり状態で、体のあちこちに骨折を起こす患者様に驚いたこともある。寝たきりで骨に負担をかけないことで、骨がさらにもろくなって骨折をするのならまだしも、この症例の患者様は
思い当たるような原因が見当たらない。日頃から偏食なく運動していても圧迫骨折するというなら防ぐのが難しい。先天的な腎虚症体質なのか。他人事ではない。

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