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診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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13:30~20:30 | ○ | ○ | ○ | - | ○ | ○ |
不育症 (体外受精による症例) 41歳女性
体外受精を今まで4度試みて妊娠が成功しなかったという方が、5度目の体外受精を念頭に東洋医学に対する漠然とした期待をもって来院された。愁訴は不育症以外に腰痛、神経痛、肩こり、冷え性(低体温症)などを訴えられた。東洋医学では病気の原因を治す治療を本治法と呼び、例えば肩こりに対する肩への治療を標治法と言う。当初の9回の治療は腰痛、神経痛、肩こりと言った愁訴への標治法をメインに本治法を加えた治療をおこなった。受精卵を子宮に戻す2ヶ月前から、子供が順調に育つ為の本治法を中心に治療をおこなった。
妊娠されて後は腰痛や肩こりなど妊娠によって出るそれらの症状の標治法をおこなった。
■所見
皮膚色が浅黒くツヤが少ない。これは東洋医学的な意味での腎と肺の虚を表している。下肢が大変冷たい。脈は速く舌の色は赤みが強い熱気を表していて、冷えと熱のバランスの崩れがハッキリ現れている。自律神経、体温調節、内分泌中枢などの乱れと瘀血が想定され、証で言えば腎虚と言える。
■診察
[ 初診~9回 ]
腰部臀部の標治法を中心に、間脳などの自律神経や内分泌へのアプローチと、腰下肢の冷えに対する治療。本治法は腎虚の治療をおこなった。
[ その後]
子宮に受精卵を戻す2ヶ月前から本治法中心の治療。
着床5週目順調。
妊娠11週目、つわりがひどいとのこと。当院での治療は1ヶ月に1度。
妊娠6ヶ月。染色体異常をみる検査をおこなったが、染色体異常は見られなかった。
妊娠8ヶ月母子ともに順調。腰痛肩こりなどの標治法治療をおこなう。
■考察
冷え症やアレルギー、水分代謝や瘀血などといった体質は不妊症や不育症の温床になりかねない。確かに今後も人工授精・体外受精の技術はますます進むと思われるが、体内浮腫や瘀血の改善。自律神経の安定や冷えの改善など東洋医学、鍼灸治療の得意とする分野であり、医師も患者もそういった知識をぜひ学習し不妊症・不育症治療に役立ててもらいたいと切に希望する。この患者様は後日肩こりにて来院され、子供は順調に育っているとのお話であった。