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味が分からない(味覚障害) 73歳男性

1年半程前から味覚が消失。大学病院等で様々な検査や治療を受けてきた。しかし味覚は全く戻らないとのことでネットを見て来院された。味覚消失当初は味覚消失に気がつかず奥さんの作った味噌汁が薄味だと苦情を言っていたらしいが。やがて何を食べても砂を噛んでいるような状態に気がつき、現在は食べ物がまずくて食事を摂る気がしないとのことで体重が15キロほど痩せてしまったとのお話であった。

■所見
当院であらかじめ用意したインスタントコーヒーの粉、塩、砂糖、ポッカレモンを舐めてもらった。しかしまったくわからないとのことであった。アロマ用に使用しているレモン、ペパーミント、ラベンダーを嗅いでもらったがまったく反応が無かった。既往歴等は特筆するような症状は無い。酒は好きだったが今は飲む気がしない。またタバコは吸わない。味覚が無い以外は健康で畑仕事を毎日続けているとのことであった。

■診察
[ 初診 ]
鍼灸治療は背臥位姿勢で、遠絡療法は座位姿勢でおこなった。症状の変化は月単位で見ないと分かり難いが始めの3ヶ月は週2回のペースで治療をおこない、まったく変化が無ければ味覚の回復は難しい旨を伝えたが、今までの味覚治療対象患者は全員良い方向に変化があったことも伝えた。この患者は県外から通院に片道3時間ほどかけて来院されることとなった

[ 3回目 ]
「酢の味がなんとなくわかった」とのお話であった。

[ 5回目 ]
コーヒーの粉の苦みがわかる。

[ 6回目以後 ]
ポン酢、あんこの甘み、レモン、塩、と徐々に味覚が戻ってきた。それにつれて遠い中来院する励みと喜びになったとのお話であった、さらに治療回数を重ねると食事の味が分かりはじめ。今まで何気なく食べてきたことの感謝の気持ちがわいてきた。

[ 1年3ヶ月後 ]
現在はすまし汁の薄味もよくわかり、食事がおいしくて体重がすっかり元にもどってしまったとのことであった。当初2ヶ月ほどは遠いなかで週2回通院され、その後週1回の通院を今日まで続けられた。

■考察
味覚障害の患者は、当院に来院されるまでに西洋医学的に様々な検査や治療をされている方がほとんどだ。味覚障害や嗅覚障害の方たちは脳神経部分で器質的圧迫をおこしやすい要素を先天的に抱えておられるのでは思えるが、現在のMRIレベルではわからないほどの微妙なものなのかもしれないし、器質的障害と考えるよりも圧迫を起こす要素が溜まれば、誰もが味覚障害や嗅覚障害になると考えた方が良いのかもしれない。

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