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6ヶ月経過を看て声が出せないようなら手術を勧められた反回神経麻痺(声帯麻痺・声が出せなくなる症状)症例 52歳 女性

3ヶ月前にお茶を飲んでむせたために咽の違和感に気がついた。すぐに病院の耳鼻咽喉科を受診し、検査の後に左側の特発性反回神経麻痺と診断された。医師からは「原因となる病気も無いので6ヶ月間経過を看て、症状が変わらないようなら手術を考慮しましょう」と説明された。しかしそれから3ヶ月経過した現在声帯も声の状態も発症時から全く改善されていない。また反回神経が麻痺しているために誤飲や誤嚥によってすぐにむせる状態である。
現在は耳鼻咽喉科と、言語リハビリ科に通院受診している。

■診察
[ 初診 ]
片側の反回神経麻痺なので、息が漏れるために声はとても小さく細くて甚だしくかすれているが、注意して聞けば聞き取れる。治療は鍼灸治療と遠絡療法とを併用しておこなった。週2回の治療間隔での来院をお願いした。

[ 2回目]
前回治療した翌日に以下のようなメールをいただいた。

(前回治療中に咽への刺激が胸の奥に伝わり「効いているんだ」という感じがあった。午後から職場に行くと「いつもより声が大きくなったね」と言われた。
自分自身も声が出ているような感じがしている。油断しても水分を誤嚥しない感じが自覚できた。息が漏れるのも軽減しているようだ。
本日は麻痺後2~3日感じていた左側の咽の乾燥したような感じがある。感覚が少し戻ってきたのでしょうか。
反回神経が麻痺しているので「仕方がない」と諦めていたが、今は積極的に治療しようという気になっている。

[ 6回目]
病院の言語リハビリで左肩の筋肉が柔らかくなっていると言われたので、治療院の事を話すと「すごいね」と感心された。
自宅の玄関で出した声が家族にも「聞こえた」と言われた。
[ 8回目]
普通に声をだすと声が割れるが、低い声だと割れなくなった。

[ 10回目]
当院に受診されてちょうど1ヶ月。発症してから4ヶ月が経過。声に力が入るようになり、発症前の声に近い感じだとのことである。

[12回目]
ハッキリと澄んだ大きな声が出せるようになった。

[13回目]
病院のリハビリ科で検査をしてもらった。検査結果は左側の声帯は依然麻痺していることに変わりない。しかし右側の声帯が大きく肥大して左声帯の代償作用をおこなっている。そのため左側の声帯が声帯全体の開閉動作をおこなって、大きな澄んだ声が出せるようになっているとの説明であった。また澄んだ大きな声が出せるようになっており、以後言語リハビリは必要ないとのことで中止となった。

[14回目]
反回神経麻痺に罹患される以前の声に比べて高音域は元と同じくらい出ており、低音域が以前より出るようになっているとのお話である。
当院での反回神経麻痺に対する治療を略治とした。

■考察
鍼灸治療開始以前はほとんど効果が見られなかった反回神経麻痺症状であったが、鍼灸治療および遠絡療法を開始してほぼ1ヶ月半で、元のような声が出せるようになった。
しかし麻痺側が回復して声が出せるようになったわけではなく、健常側が患側の代償作用として肥大して回復したことによってである。
こういった代償作用はそれに類する全ての病気に当てはまるものかもしれない。そういった意味で改めて人体のメカニズムを教えてもらった症例となった。

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