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一見軽そうに見える顔面神経麻痺にも関わらず、顔の歪みと後遺症が危惧された顔面神経麻痺症例 29歳 女性

約1か月半前の夜、顔に違和感を感じた為翌日かかりつけの病院を受診して、そこからさらに大きな病院を紹介された。その日の内に紹介された病院の耳鼻科を受診し、MRIや血液検査をしたが異常は見られなかった。そしてステロイドの内服薬をもらった。4日後2度目の病院受診時にベル麻痺と言われ、筋電図検査をして表情筋が1割程度しか動いていないと説明された。発症から2週間後には、担当医師から「顔のマッサージをしても良い、やり方は適当に」と言われた。この頃には目の開閉が可能になり、歯磨きもスムーズに出来、口も動きやすくなってきた。3度目の病院受診時後遺症について医師に質問すると「なったらその時に考えよう」といわれた。顔面神経麻痺発症後1か月過ぎた頃から耳鳴りがし始めた。

■診察
[ 初診時]
当院での顔面神経麻痺評価点数は24点。1週間前に耳鼻科で採点した評価点数は22点。顔面神経麻痺発症後1か月半経過しての24点は中等度から軽度の間と考えられる。週2回の治療間隔が良いとお話ししたが、仕事や送迎の関係から週2回は難しいとのお話であった。

[ 7回目]
顔面神経麻痺発症から2か月と20日経過。当院初診から1か月経過した。顔面神経麻痺評価点数は28点。見た目は顔面神経麻痺とはほとんどわからない。全体的に順調な経過の中で右顎下の偏りが気になった。本人に言ったが言われるまで気にならなかったようだ。週1回の治療間隔になるので右顎下の歪み状態は注視する必要があると告げた。

[ 12回目]
顔面神経麻痺発症から4か月経過。当院初診から2か月と10日経過した。顔面神経麻痺評価点数は32点。耳鳴りも当初に比べ小さくなっている。ウーやオーの口をすると患側の眼下がやや引きつる共同運動が出ている。見た目の状態がほとんど良いからか、病院耳鼻科の受診は3か月に1度になった。

[その後の経過]
顔面神経麻痺発症から1年。当院初診時から10か月。月3回か4回の間隔で通院されて略治とした。最終的な顔面神経麻痺評価点数は40点満点の36点である。初診当初の顔面神経麻痺評価では、中等度でも軽度に近い状態であり、一般的には半年以内に略治になる症例に見えた。しかし右顎下の部分的な歪みが現れた早い段階で、後遺症を睨んだ難しい症例対象と思えるようになった。

[ 考察]
顔面神経麻痺でも後遺症が出るタイプとして、見た目も、顔面神経麻痺評価点数で良い点数が出ても、部分的に動き難い箇所があったり、アンバランスな治り方をするのは、後遺症を残すタイプに属する。眼下の引きつりや共同運動などは「1週間前までなかったのに今週には出ている」といった形でいきなり現れる。だからこそ週2回間隔でのルーチン的治療に加えて、細かな観察が必要であり予防につながる。後遺症の進行を少しでも遅らせるには、この地道な方法での治療が最善な手段と考えられる。

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