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顔面神経麻痺症状に加え、めまい、ふらつき、目のまぶしさ等を訴える顔面神経麻痺症例 65歳 女性

2か月半前に耳の中に水泡が出来て内科を受診し、皮膚科に行くよう言われ皮膚科を受診した。皮膚科の医師は病状の診断を図りかねて総合病院を紹介してくれた。その頃には顔が少し歪んできていた。総合病院では顔面神経麻痺として10日間入院してステロイドの点滴をおこなった。しかし退院した直後から寒気と吐き気が強くなり、翌日からさらに16日間再入院することになってしまった。そこを退院して間もなくから眩暈、頭のふらつきや、しっかりと立っておれない。歩くと足が突進用歩行で思うように止まれないなどの症状が出るようになった。当院には顔の歪みを心配されたご主人が相談に来られて、顔面神経麻痺の治療を開始することとなった。

■診察
[ 初診時]
当院での顔面神経麻痺評価点数は10点。ただし顔面神経麻痺発症後に再入院が必要にまでなった眩暈、ふらつき、吐き気などの症状が、予後つまり後遺症に影響を与える可能性がある為、単純に顔面神経麻痺評価点数だけでは測れないと考えた。現在もかなりのフラツキがありヨロける為、一人で外出するのが難しい状態である。また寝返り時などにも眩暈があり、さらに耳周囲に痛みと違和感がある。また顔面神経麻痺による顔の歪みもかなり顕著であり、眩暈やフラツキの状態を見ながら顔面神経麻痺の治療を加減することとした。治療は鍼灸治療とフラツキを考慮した遠絡療法をおこなった。

[ 16回目]
顔面神経麻痺発症から4か月半。当院初診から2か月が経過。顔面神経麻痺評価点数は14点。口の歪みは中央に寄りつつある。唇下の痛みとだるさが軽快。閉眼動作も大分動くようになった。

[ 26回目]
顔面神経麻痺発症から5か月半。当院初診から3か月が経過。顔面神経麻痺評価点数は18点。フラツキでまだまっすぐ歩けない。眉毛の高さは左右そろってきた。

[ 44回目]
顔面神経麻痺発症から8か月。当院初診時から5か月半が経過した。顔面神経麻痺評価点数は26点。耳鼻科診察時に担当医師から「顔面神経麻痺とはわからなくなってきた」と言われた。本人の要望で当院での治療を週1回とした。今後注視しないといけないのは後遺症の進行だと説明した。

[その後の経過]
この患者様は発症から2年間。当院初診時から1年7か月の治療を行い略治とした。最後の4か月は患者様の要望で月2回の治療となった。顔面神経麻痺評価点数は40点満点の32点と、眩暈やフラツキ等の予後悪化材料を考えれば驚くほど良い点数となった。日常の中では顔面神経麻痺とはわからないが、ウーやオーなど口を動かすと患側の目が小さく細くなる共同運動が出ており、喋ると強く目を閉じたくなるとか、フラツキ感といった症状が残っている。この症例はフラツキや眩暈などの症状が強く、一般的な末梢性の顔面神経麻痺症状とは少し異なる症例となった。

[ 考察]
この症例は顔面神経麻痺が平行覚へ影響を及ぼした。もしくは末梢性の顔面神経麻痺以外の疑いも考えられる症例である。耳鳴り、耳周囲の痛み、眩暈、フラツキ、ヨロける、歩き出すと思うように止まれないなどの症状は、予後への悪影響が疑われた。当初の顔の歪みは見た目にはわからないまで良くなった。またきついフラツキも軽快したが、やはり表情を作ると目が細くなる等の共同運動は出てしまった。顔面神経麻痺だけで言えば、この患者様とほぼ同時期に発症し、同程度と思われる顔面神経麻痺患者様が通院されており、この方は見た目も後遺症状もわからないほど改善している。この差が一般的な末梢性顔面神経麻痺では無いことの示唆と、さらに言うなら治療間隔をいつの時点で切り替えるかの差の影響も有るのではと考えている。

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