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顔面神経麻痺に対して確実に鍼灸治療の効果を物語る症例 33歳 男性

3週間前に左目の下に痙攣が起き、翌朝起きたら顔面神経麻痺になっていた。すぐに総合病院を受診し、脳神経外科でMRIとCTを撮ったが異常はみられず、抹消性の顔面神経麻痺と診断された。病院では顔面神経麻痺点数評価法はされなかった。治療はステロイドの服薬とビタミンB12の服薬で、ステロイドの点滴はなかった。。病院に通院して3週間が経過したが症状にまったく変化が見られない為、知人の紹介で来院された。

■診察
[ 初診 ]
顔面神経麻痺の40点評価法でのスコアは12点。顔面神経麻痺外見上の特徴的な点は安静時の表情はさほど重度に思えないが、眉毛の高さと眼の大きさに差が大きい。また甘みが解り難く味覚障害がある。その他アトピー様の皮膚疾患が見られる。鍼灸治療は初めてとのことであった。治療後は顔面神経麻痺の日常の注意点をお話しした上で、週2回の治療間隔での来院をお願いした。

[ 5回目]
顔が随分動かしやすくなった。

[ 6回目]
5回目と6回目の治療間隔が2ヶ月半ほど開いた。この間職場で配置換えが行われ、来客と直接接する営業から顔面神経麻痺が原因で配置転換され、鬱状態になっていたとのことであった。しかし耳鼻科での薬はもらって飲んでいたとのことである。今後は職場の協力で顔面神経麻痺の治療に専念できるとのお話であった。
この時点での顔面神経麻痺評価スコアは、驚いたことに3ヶ月以前の当院で測ったスコアとまったく同じ12点であった。この間ステロイドとビタミン剤の服薬はおこなっているにもかかわらずである。当院初診当初は「顔面神経麻痺の後遺症はさほど出ないだろう」と私自身も考えていたが、この時点で顔面神経麻痺の予後について後遺症がかなり残ると判断し、その旨を患者様にお話させていただいた。
[ 11回目]
眉毛の高さが揃ってきた。

[ 16回目]
「顔の表情が違ってきたと、人から言われる」
顔のこわばり感と、眼の周囲の違和感を感じる。

[19回目]
眼瞼痙攣が6時間ほど続いた。
顔面神経麻痺評価スコア 18点

[30回目]
顔面神経麻痺評価スコア 24点

[33回目]
知人の強い勧めで整体院で顔にキツイマッサージを受け、顔が腫れた様に強張り、その症状が取れないとの訴えがあった。

[ その後の経過]
この患者様は顔面神経麻痺の治療を週2回の治療間隔で約半年行い。その後の3ヶ月間は週1回の顔面神経麻痺の治療をおこなった。その後お仕事の関係で遠くへ転勤されることとなった。およそ2ヶ月半の治療ブランクを除く9ヶ月間治療をおこなったことになる、顔面神経麻痺の40点評価法の当院での最終的なスコアは28点であった。スコアが20点を超えると見た目では正常に近い状態となる。後遺症として欠伸時に眼を閉じる。患側の表情筋が後遺症として筋短縮をおこし、表情を作るとやや硬く引き攣ったように見える。患者様からは顔面神経麻痺が良くなったと、とても感謝されているが、2ヶ月半のブランクは悔やまれる。
「転居先(東京)で先生の所のような顔面神経麻痺の良い治療院はないだろうか」と相談された。

■考察
以前にも書いているが、顔面神経麻痺は障害の程度によって後遺症の出ない軽度の方と、後遺症の出る中等度以上の方の二つに大きく分けることができる。この事は顔面神経麻痺を治療する上で最も大きくかつ重要なことである。
この患者様の場合、顔面神経麻痺の当院での鍼灸治療初期段階では、これほど長引く症例になるとは考えていなかった。
2ヶ月半当院での治療空白期間はあったが、西洋医学的な治療としてこの間もステロイド剤とビタミン剤の服薬はつづけている。しかし当院での治療空白期間の前後で、顔面神経麻痺の評価スコアにまったく変化が見られなかった。
改めて顔面神経麻痺に対する鍼灸治療がいかに必要かを物語る症例となった。

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