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顔面神経麻痺発症後半年が経ち、後遺症を抱えて来院した症例 25歳 女性

6ヶ月前に舌の痺れと洗顔時に目に水が入ったため総合病院を受診し、末梢性の顔面神経麻痺と診断されてすぐに入院となった。入院中は耳の奥に痛みが有り、味覚に異常があった。しかし血液検査には異常は無く1週間のステロイド点滴をうけて退院となった。退院時はステロイド剤、ビタミンB12,胃腸薬が処方された。退院1週間後に耳の中に発疹が出来た為すぐに病院を再受診し、抗ウィルス薬と塗り薬をもらった。その後顔面神経麻痺発症3ヶ月半でステロイドの服薬を終了。5ヶ月半後にはビタミンB12の服薬を終了した。しかしその頃から左下唇が下がってきて口周辺に違和感を感じるようになり、口を閉じると口の周辺に痺れが出て来た。またまぶたが重く感じるようになってきた。その為気孔治療と小さな鍼を体に貼り付けるような針治療を受けてみたが効果は実感できなかった。

■診察
[ 初診 ]
横に寝ると涙が出る。欠伸をすると目が閉じる。まばたきをする口角がピクピクト動く。目が重くて開けづらい感じがある。目の大きさに違いがある。顔の強張りを感じると言った共同運動や顔面筋の短縮といった顔面神経麻痺の後遺症状が見られた。当院受診前にかかっていた総合病院で顔面神経麻痺症状は良くなったと判断され、治癒に近い診断評価がされ、そこでの積極的な治療はされなくなったようだ。当院での顔面神経麻痺柳原40点評価法でも28点と点数的には高かった。しかし柳原法では顔面神経麻痺後遺症の評価は無い為前述のような愁訴を抱えて来院されることとなった。
患者は若い女性で鍼治療経験も無く怖いとのことだったので、初診時は針治療はせず遠絡療法と子供用に使う皮膚針治療をおこなった。そして後遺症に対するマッサージ法や注意点などをお話しした上で、週2回の治療間隔での来院をお願いした。2回目以後の治療には鍼灸治療を加えておこなった。

[ 9回目]
目まばたきが軽くなってきた。口周囲のピリピリした感じが軽減した。

[ 22回目]
まばたきの重い感じが消失した。口周囲のピリピリ感消失。

[ 31回目]
顔面神経麻痺にかかったことを意識せずにこの間は過ごせた。笑っても違和感が無い。残症状としてあった左下唇も意識せず過ごせた。

[ その後の経過]
顔面神経麻痺発症後1年1ヶ月が経過。顔面神経麻痺評価40点法では36点とほぼ正常に近い点数となっている。目の重さや目の開閉時の左右差は正常になっている。共同運動は検査上は有るが日常の中で気になる程ではない。頬周囲と目の周囲の強張りはほとんど感じない。しかし口周囲の強張りが程度は軽くなったものの残っており、下唇の下がりも改善されたものの残っている。筋短縮との戦いであるが患者が未婚の若い女性でもあり、少しでも改善されるよう最大限の努力を継続している。

■考察
顔面神経麻痺は障害の程度によって後遺症の出ない軽度の方と、後遺症の出る中等度以上の方の二つに大きく分けることができる。この事は顔面神経麻痺を治療する上で最も大きくかつ重要なことである。このケースでは病院の医師ですら顔の表面上の変化のみを患者に説明し、後遺症についての説明がなされていない。治療者としては治療を進めていく前提として当初から後遺症のことを念頭に入れ注意点を患者に説明しておかなければならい。

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