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顔面神経麻痺による減荷手術を受けた後に来院された症例 53歳 男性
1カ月ほど前の朝にコップで水がうまく飲めなくなり救急で病院の脳外科を受診した。MRI検査をしたが異常は見られず、医師から「末梢性顔面神経麻痺だと思うので耳鼻科に行くように」と言われ紹介状を書いてもらい翌日病院の耳鼻科を受診した。そこで10日間の入院となりステロイドの点滴治療等を受けた。その時の顔面神経麻痺評価点数は14点だった。退院して5日後の表情筋の電気生理学的検査(ENOG)で8.3%という数値だったことから医師から手術を勧められ、再度入院して顔面神経の減荷手術を受けることになった。手術後の退院時に医師から「顔面神経麻痺の症状は3か月ぐらいかけて改善していくから少し様子をみましょう」と言われた。しかしそれでも症状改善についての不安があり当院をネットで調べて来院された。
<初診時>顔面神経麻痺発症後1カ月と10日経過 減荷手術後21日経過
顔面神経麻痺評価点数は14点 耳後の手術部位はガーゼをしているが血液や進出物が出ている状態で病院での消毒を勧めた。
手術後出現しやすい難聴や耳のつまりこもり響きなどの症状は、やや聞こえが悪くなった程度でさほど出ていない。また仰臥位での閉眼は可能である。
<8回目>顔面神経麻痺発症後約2カ月 減荷手術後約1カ月半 当院初診から約1か月経過
病院での顔面神経麻痺評価点数は22点 当院での顔面神経麻痺評価点数は18点 コップで水を飲んでも少しずつならこぼれない
ストローは口の真ん中で飲める 口中での食べ物の残渣物も少なくなってきて食べやすくなってきている 眉毛が少し挙げられるようになったが上瞼はたるんで下がってきている。
<17回目>顔面神経麻痺発症後3カ月と20日 減荷手術後約3か月 当院初診から約2か月半経過
病院での顔面神経麻痺評価点数は26点。当院での顔面神経麻痺評価点数は20点。
瞬き時に後遺症である共同運動が出ている。 額の皺は患側にもあるが高低差があり歪んでいる。また顔患側が張った感じの訴えがある
<26回目>顔面神経麻痺発症後およそ半年 減荷手術後約5か月 当院初診から約4か月半が経過
当院での顔面神経麻痺評価点数は24点。自然な表情になってきている。観察すると筋短縮で鼻以下がやや患側の斜め上に上がりかけてみえるが目立つほどではない。患側上眼瞼のたるみは改善されつつある。
<35回目>顔面神経麻痺発症後およそ8カ月 減荷手術後約7か月 当院初診からおよそ6か月経過
当院での顔面神経麻痺評価点数は30点 口角を広げるイーの表情は問題ないが、口をすぼめる動作やウーオーの発声時に連動して目が細くなる。
<39回目>顔面神経麻痺発症後およそ9カ月 減荷手術後約8か月 当院初診からおよそ7か月半経過
当院での顔面神経麻痺評価点数は32点 片目つぶりは元からできなかったとのお話なので34点に変更する
遠方からの来院でもあり日常にも全く支障のないレベルにまで回復していることから、翌月から2週間に一度の治療間隔に変更することとした。
<44回目>顔面神経麻痺発症後およそ11カ月 減荷手術後約10か月 当院初診からおよそ8か月半経過
顔面神経麻痺評価点数は36点 額の皺がほぼ水平になっている 口を尖らすウーの形をすると右目が細くなる。ただし日常では顔面神経麻痺になったとは他人にもわからないし、ご本人も日常に支障がないレベルと判断して略治とした。
(考察)
顔面神経麻痺減荷手術を受けての症例である。手術については立場によって様々な意見や評価があると思われる。私は状態によっては手術の選択肢もあると考えている。ただし手術後早期に顔面神経麻痺に対するフォローが必用で、加えて経験豊富な治療者の鍼灸施術は必須条件であると考えている