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脊髄(頸髄)損傷による頚部痛、背部痛、手指の痺れ、握力低下、巧緻障害 55歳 男性
6ヶ月前に、酒を飲んで自動車ではなく自転車をこぎながらつい眠ってしまい顔から段差のある泥田へ突っ込んでしまった。幸いジョギング中の人が通報し、意識不明のまま救命救急センターに救急車で搬送された。外傷としては前歯5本が折れ唇を縫った。しかしそれ以上に深刻なのは脊髄(頚髄)損傷となったったことで、入院当初はまったく動けない状態であった。幸いなことに脊髄損傷部位が頚髄の7番であったことから寝たきりになるようなことにはならなかった。3週間ほどの入院で無事に退院となった。しかし頚はわずかの範囲しか動かせず、手の痺れと指の痺れと触覚に異常があった。また巧緻障害がありボタンをはめたり字を書いたりお箸を持つ動作などがし辛くなっていた。握力低下も顕著で物を持つ力が殆ど無いような状態であった。外傷の治療以後脊髄損傷に対する西洋医学的な治療はまったくされておらず、症状に対する不安から鍼灸治療および遠絡療法による治療を希望されて当院を受診された。
■診察
[ 初診 ]
症状としては右上肢のほうが左上肢よりも強い。両手背側と手掌側とも上腕部から指先まで痺れがある。痺れは手の掌の方が甲側よりもきつい。上肢の皮膚に知覚異常があり、触られた感覚が自身の皮膚というより1枚紙を隔てた感じがある。また手が物に触れたり人に触られると皮膚にビリッとした痛みが出る。手の掌はジンジンする。両足の尖の方にも痺れがあるが、足の痺れは手の5分の1ぐらいの痺れ感。頚は取り外しができるギブスをしている。右上肢が動かせない。治療は遠絡療法と鍼灸治療をおこなった。週2回の治療間隔での来院をお願いした。また筋力低下を防ぐために頚は動かさず、歩くことと上肢の筋力をつけるためにジムに通ってもらった。
[ 経過 ]
半年が経過し、手の甲側にわずかに痺れが残っている程度で、皮膚の異常感覚も触覚も、痺れも、頚の動きも正常になった。当院の初診時点をVAS値で10とすると、現在のVAS値は1程度で、殆ど正常に全ての症状が回復した。右上肢が当初20度ほどしか動かせなかったが私が他動的に動かすと可能だったので、これについては脊髄損傷よりも転等時の筋の部分断裂と判断したが、現在はそれもまったく正常に戻っている。
■考察
脊髄損傷ここでは頚髄損傷の症例である。頚髄損傷も頚髄のどこの高位に損傷があるのかでまったく状態が違ってくる。この症例は頚髄7番に損傷が起きており、半年間で痺れや巧緻障害を含めて殆どの症状が正常値にまで回復している。しかし頚髄損傷でもそれより高位の場合では、全く寝たきり状態の方も珍しくない。
脊髄損傷がここまで良くなったのには、背損部位が頚椎の7番であったこと。
遠絡療法および鍼灸治療の開始が早かったこと。
患者様ご自身の、基礎体力作りと筋力作りの努力が回復への大きな力になったこと。
以上が挙げられる。