背中が痛み、胸が苦しく呼吸がしづらい　　３７才　女性

１ヶ月半前に、仕事後に急に胸が苦しくなり、帰宅してさらに胸の苦しさと呼吸困難になっててきた為総合病院の救急外来にかかった。そこでの検査では　心臓異常（－）　血液異常（－）　甲状腺異常（－）X線異常（－）という結果で安定剤が処方された。しかし安定剤を服用すると余計に状態が悪くなった為近くの医院を受診し相談すると、心身症でこのような症状が出ると言われ、今まで服用した安定剤とは違う体に優しいと言われる安定剤が出された。しかし安定剤を飲むとやはり症状が余計に悪くなった。その為現在は漢方薬（厚朴湯）が出されている。しかし漢方薬を飲んでも症状に変わりない為按摩マッサージに行ってみた。しかしマッサージを受けたが痛みは変わらずさらに熱が出てしまった。自身では休養を取れば症状も楽になると考え仕事休んでいたが、昨夜再度苦しくなり病院を受診した。当院はネットで調べ来院された。

■診察
[ 初診 ]
背部は頚椎から上位胸椎まで叩打痛があり、側胸部と前胸部に圧痛がある。また右手の前腕から手背側に痺れがある。食欲が無い。脊椎の流れの詰まりによる蓄積症状と考えて鍼灸治療と遠絡療法とを行った。治療後呼吸が楽になり痛みもVASで１０→４に軽快した。
[ 2回目 ]
２日後来院。「すごく楽になっている。前回治療した夜には、寝てビックリするぐらい呼吸が楽になっていた」とのお話であった。前胸部の痛み消失。背中の痛みは消失したが強張った感じが残っている。手の痺れも消失している。食欲も改善されたが胃につかえた感じがある。治療は背部の強張りと胃のつかえを加えておこなった。治療後は背中の強張り軽快し、胃のつかえた感じも消失した。
[ ３回目 ]
５日後来院。肩と首と背中の凝りを中心に治療を行った。治療後はとても楽とのお話であり、一旦略治として様子を見てもらうようにお話をした。しかし「仕事を始めており週末になるとつらくなるかと思う」とのお話で、治療の継続を希望されたので、当分の間週末に週１回の治療を行うこととした。
■考察
この症例の場合は検査データを基に病状を診断しようとする西洋医学の欠点が露呈されている。そして異常が無ければ本人が苦しがっているにもかかわらず心身症といった病名診断に
なりかねない。検査データも確かに必要だが、検査に異常が無ければ今度はしっかりと触診をしなければいけない。そのことを端的に現す症例と言える。