診療時間(完全予約制)
休診日(日曜・祝日)
診療時間
8:30~12:30
13:30~20:30 -

TEL 086-270-0188

〒703-8275

岡山県岡山市中区門田屋敷1丁目
9-29(菱和パレス一階)

脳幹部出血及び(橋)血腫による後遺症  32才 男性

■現病歴

10ヶ月前に脳幹部出血。一命に関わる場所だが呼吸障害や失明などから奇跡的に回復し10ヶ月経った現在も入院加療中の患者様が、担当医師のご紹介を受けて来院された。橋部の血腫にも関連しているのか小脳症状と思える運動障害と、脳幹部出血による後遺症状と思える平衡感覚障害と様々な感覚障害があり、大脳部分での出血や梗塞とは明らかに違う訴えがあった。

■診察

[ 初診時 ]

まず自身が座っているのか立っているのか、上を向いているのか下を向いているのかの自身の姿勢や位置が認識できない。眼球の運動に障害があるとともに視野狭窄がある。視野に入った物との距離間隔がわからない。味覚と嗅覚が共にない。自分自身の目や口などをただの割れ目のようにしか感じない。自分の手や足が単に丸太としか思えない。大きな声が出せない。耳鳴りがしている。以上のような状態である。現代医学では脳細胞が破壊された場合は再生しないと考えており、逆に脳出血や橋の血腫による2次的な近隣部分の圧迫による症状は回復する可能性があると考えた。症状的には大変に難しい症状なので週1回2ヶ月間治療をおこない、効果の判定を見たいと了承を得た上で治療をおこなう事とした。

[ その後の経過 ]

当初2ヶ月治療をした上でここまで重度の患者様に効果があらわれるのか見てみたいと考えていた。しかし予想以上に症状が改善して行き、半年間入院している病院からの通院という形で治療をおこなうことができた。まず視力と視野角度が広がってきた。動いている人の顔などの動体視力も随分回復してきた。自分が座っているとか立っているなどの位置の感覚もわかってきた。また人がそばに居るといった気配がわかるようになった。動作のスピードが早くなってきた。嗅覚と味覚もゼロだったものが少しずつ回復してきた。

■考察

脳梗塞などで寝たきりといった形での重度さと違い。通院できる形での感覚障害と運動障害は、今まで私が治療させていただいた中で最も重度な方であった。この方の場合リハビリテーション病院に長期に入院しつつ鍼灸治療と遠絡療法をおこなっており、人体の自然回復力と患者様ご自身の努力。担当医師のお力。またリハビリの先生方のお力があって病状が回復していったので、けっして鍼灸治療や遠絡療法の効果とは言えない部分がある。しかしこの症例は私たち治療者にとってどんな重度の病状であっても、治らないとか無理だとか諦めずにチャレンジしてみることを学ばせていただいた症例であった。

最近の症例