出産直後の鬱症状と強度の不眠　２７歳　女性

３０日前に女児を出産し産婦人科専門病院から一旦退院した。しかし１０日ほど前から鬱状態がひどくなり、同時にまったく眠れなくなった為再度産婦人科病院に入院した。病院では睡眠薬がいくつか変えて処方され、抗うつ剤はジェイゾロフトが処方されている。薬の副作用か、食欲不振と吐き気があり、喉が渇き、めまいがある。再入院後１０日しても症状の改善がまったく見られず、さらにひどくなっていると感じた為、入院中にも関わらず、担当医師の許可を得て当院を受診された。

■診察
[ １回目 ]
初診時の状態は、顔の表情が乏しく、言葉に力がなく、動作が緩慢である。反対に神経が過敏になっているとのことである。そして一睡もできていないことを強く訴えられた。食欲不振の為病院食の半分を食べることに目標を置いている。東洋医学的な診方では、脈診は肝虚症、触診上は頭部浮腫があり、気、血、水、共に滞っている。
いわゆる症を整える全体的な治療と、頭部を中心とした自律神経中枢に対しての鍼灸治療と、遠絡療法をおこなった。

[ ３回目 ]
当院初診から２週間経過。寝付けるまでにおよそ１時間かかり、寝ても２時間で目が覚め、そこからウツラウツラしている。起き上がるのは午前１０時～１１時。その間１時間おきにトイレに行く。朝食と昼食は欲しくない。夕食は食べている。めまいは改善してきた。

[ ９回目 ]
産婦人科病院を退院。（再入院期間３５日間）。夜は５時間ほど眠っている。朝も２０～３０分ウトウトすることがある。起床時にジンマシンがかゆくて目が覚めることがある。

[ １６回目 ]
鬱症状は落ち着いている。睡眠薬無しで眠れるようになった。

[ １９回目 ]
鬱及び不眠発症から約４か月。鬱状態はほぼ正常に戻り、テレビを見ても笑える。あれほど苦しんだ不眠も、睡眠薬を使わずよく眠れるようになった。
この日で当院での治療は略治とした。

[ 備考]
当院に来院当初は本当に鬱と不眠でつらさが伝わり、早く良くなりたいという思いも伝わった。つらさを忍耐し徐々に眠れるようになってきたことが、こちらの治療の喜びにも繋がった。
産婦人科専門病院と担当医が入院中にも関わらず、良く外出許可をしてまで、当院での治療を受けさせてくれたことに感謝申し上げる。