子宮筋腫手術後の不眠、倦怠感、眩暈、不安感、食欲不振、首、肩、背中の痛み　４２歳女性

当院のホームページをご覧になり、メールで以下のような文章を頂いた。
半年前に子宮筋腫の手術をしてから体調を崩してしまった。症状は不眠、強い倦怠感、食欲不振、眩暈（めまい）、不安感、強い首、肩、背中の痛み。病院に行っても異常は見られず、鍼灸院と整体治療にそれぞれ１ヶ月ずつ通ったが症状は全く改善しなかった。自律神経がおかしくなっているようですとのコメントが添えてあった。
そして上記のメールを頂いて９日後に来院された。手術後６キロ体重が減り、寝ていて天井が回る強いめまいを１ヶ月以内に経験した。今にも目が回りそうな感じがあり、病気によって仕事や家庭への負担と、症状が良くなるのかという不安感が強い。家は自営業で仕事を手伝っているが、客の居ない間は寝ていることが多い。家事や子供の世話は夫やご両親がサポートしてくれている。

■所見
鬱傾向が強く声に力がない。眩暈感も加わり座位を保つのもつらい様子である。歩くと右へ引き寄せられるとのこと。
東洋医学的な所見では、気虚、血虚、瘀血、陽虚であり、漢方専門の内科にも当院の治療と並行して通院されているが、加味逍遥散、半夏白術天麻湯、小青竜湯といった薬が処方されている。またアデホス、メニタジン、アズイクレニン、ヒスポランと言った血流改善薬、眩暈薬、胃薬と言った西洋薬も出されている。

■診察
[ 治療経過 ]
当院では、気虚、血虚、瘀血、陽虚を基に、水分代謝と冷え、凝りとを併せて治療対象とした。週２回の間隔で治療は長期にわたった。通院時間が車で１時間半程かかり父親が半年間送迎をおこなった。その後自身で運転して１年２ヶ月。計１年８ヶ月にわたり当院に通院されて略治となった。
[ 経過２ ]
めまい、ふらつき、鬱状態、不眠、寝汗、冷え性、食欲不振、倦怠感、不安感、昼間横になって休まざるをえなかったこと。やる気が出ない。食事は母親が作ったものを運んでもらっていた。学校行事への参加やショッピング。家族旅行や子供とのピクニック。肩や首の痛みと重み、頭重感、など１年８ヶ月の治療でほとんど消失した。
残症状として肩と首の凝り感と重さが治療後は良いが、次回の来院時の訴えとして残った。
体重も治療当初３８キロまで痩せていたが、４６キロと病気以前の体重より１キロ多くなった。

■考察
病気の苦しさつらさに対して、患者様はたくさんの治療費を使い、時間を使って真摯に治りたいと言う熱心な要求を治療者に伝える。治療者も当然それに応えたい治したいと言う真摯な気持ちになる。お互いの気持ちが応えあって治療は成り立つ。そのことはなにも鍼灸治療だけに限ったことではない。西洋医学にも同じようにあてはまることだ。この症例では病気に対して患者様と治療者と立場は違っても、１年８ヶ月にわたり治りたい、治したいという気持ちで真摯に向き合ってきた。その結果が病気の快方につながったものと言える。