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往復6時間、2年半の間、当院を通院された顔面神経麻痺症例  28歳 女性

約1か月前の朝に顔が歪んでいることに気付き、近くの脳神経外科を受診した。発症の5日ほど前から頭痛が続き、発症前日は顎のあたりに痛みがあった。脳神経外科では顔の浮腫と言われ薬が処方された。翌日そこの紹介で病院の神経内科を受診し、CTを撮ったが異常は見られず、軽度の顔面神経麻痺と言われた。しかし担当医師の考えでステロイドは使用しないと言われビタミンB12のみ処方された。翌日症状がさらにひどくなってきたため、別の大病院の耳鼻科を受診し通院でステロイドの点滴を1週間おこなった。それでも不安で隣県に顔面神経麻痺の専門外来がある病院を知って受診した。顔の電気検査では3%、「手術をしても良い対象者である」と言われた。そこで入院をして10日間ステロイド点滴をおこなった。そこの病院では「完全麻痺であり後で後遺症が出てくる。1年かけて治療をしましょう」と説明された。その後は3週間に1度通院して診察とリハビリを続けることとなった。また自宅近くの鍼灸院で3日連続の計6回治療を受けた。ネットで当院を知り来院されたが、当院までは新幹線を使って往復で6時間近くかかるとのことであった。

■診察
[ 初診時]
当院での顔面神経麻痺評価点数は40点満点の8点。味覚異常(-)。耳にシャワーが当たると音が響く。遠方でもあり近くの鍼灸院を受診するように勧めた。

[ 7回目]
顔面神経麻痺評価点数16点。口元に力が入ってきた。耳にシャワーが当たっても音が響かなくなった。コップとペットボトルで不自由さはあっても飲めるようになってきた。
当院からは、治療が長期化するので近くの鍼灸院受診をお勧めした為、隣県含めて顔面神経麻痺治療をしてくれる鍼灸治療院を、ネットで検索して顔面神経麻痺の学会に所属されているような鍼灸院などにも通院されたようだが、結局当院に週2回の間隔で通院されることになった。

[ 9回目]
顔面神経麻痺発症から2か月と10日経過。当院初診から約1か月経過した。耳周囲に痛みがあり、しゃべるとパタパタ、プルプルという音が耳中からする。また耳中が飛行機に乗った時のようにつまった感じがある。耳鼻科での検査ではアブミ骨筋の数値は正常だと言われた。まだ食べ物の片寄りがあり、うがいをすると水が漏れる。このところ体がだるく不眠状態になっており眠剤(マイスリー)を飲んでいる。顔全体の歪みは正中に寄ってきた。また口元が少し挙がりニコッと笑えるようになった。

[15回]
顔面神経麻痺発症からおよそ3ヶ月。当院初診時から2ヶ月が経過した。顔面神経麻痺評価点数20点。高音の耳鳴りがして自分の声が違って聞こえ、耳の閉塞感が辛い為検査をしたが異常無しと言われた。顔面神経麻痺専門外来の担当医からアブミ骨痙攣などの後遺症について説明された。頬周囲を押さえると痛い。顔の筋肉が縮んだ感じがする。顔の痺れ感が強い時と楽な時が1日の中で交互にある。とのことである。

[30回]
顔面神経麻痺発症から約6ヶ月。当院初診から5ヶ月足らず経過。顔面神経麻痺評価点数は24点。耳鳴りの音が気にならなくなってきた。顔面神経麻痺後遺症として瞬き時に口角がピクピクと動く共同運動が出ている。
この後、子宮及び卵巣手術のため1ヶ月程度入院となる。この手術も顔面神経麻痺が発症した為4ヶ月ほど遅らせた理由である。

[31回]
入院を挟み前回治療から40日後。眼下が引きつる。頬が硬くなっている。眉毛の内側が動きが悪い。と言ったような訴えがある。顔面神経麻痺評価点数は24点。
顔面神経麻痺治療に加え、手足の冷えや瘀血改善の治療をおこなうこととする。

[101回]
1年3ヶ月経過した時点で週1回の治療とした。顔面神経麻痺専門外来も3ヶ月に1回の診察になっている。顔面神経麻痺評価点数は32点。アブミ骨痙攣などの耳鳴り及び耳周囲の症状は消失。目視的には顔面神経麻痺症状はまったくわからない。眼下、鼻翼、口周囲、頬のあたりに自覚による強ばり感がある。鼻翼の大きさも左右揃ってきているが動かすのが困難。口角も力が入りにくい。

[136回]
顔面神経麻痺発症から2年経過した時点で月2回の治療とした。顔面神経麻痺評価点数36点。顔面神経麻痺専門外来も治療中止となった。顔面神経麻痺による顔の強ばりはほぼ消失し、眼下の引きつりなども気にならない程度に落ち着いたため、顔面神経麻痺であることを忘れていることがある。

[150回]
顔面神経麻痺発症から2年8ヶ月。当院初診時から2年7ヶ月が経過した。顔面神経麻痺評価点数40点満点の38点。家にいるときは顔のことは何も感じない。また「顔面神経麻痺症状以外に頸の痛みや肩こり、冷え症などで苦しんでいたのに、体調がとても良くなったことがうれしい」とお話をされた。 略治とした。

[ 考察]
発症時にかかった診療所では顔面神経麻痺ではなく顔のむくみと言う診断。つぎに紹介された病院では軽度の顔面神経麻痺と言う診断でステロイドは使用せず。次にかかった病院では通院によるステロイド点滴。最後にかかった病院では重度に近い顔面神経麻と診断され、入院して大量のステロイド点滴を受けることとなった。
顔面神経麻痺症状の一つの形として、顔面神経麻痺と関連して耳に症状が出た場合。
耳鳴り、耳の閉塞感、耳痛、目眩、ふらつきと言ったような、音や平衡覚などの症状を伴う場合は、顔面神経麻痺の程度がきつい場合が多く、後遺症も残る場合が多い。またその症状がどの程度続くのかでも症度が違う。この症例の場合も顔面神経麻痺発症から半年ぐらいの間は耳に関連した訴えがあり、やはり顔面神経麻痺治療の難しい症例となった。

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