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顔面神経麻痺と同時に反回神経麻痺(声帯麻痺)が発症した症例 49歳 男性

約1か月前旅行先で寒風の中無理をして、頭痛や風邪ぎみ状態で疲れて帰宅。翌日顔の歪みと声が出なくなり病院の救急外来を受診した。耳鼻咽喉科の医師は不在で、翌日耳鼻科外来を受診し、ヘルペスウィルスによる顔面神経麻痺(ハント症候群)と反回神経麻痺と診断された。即日入院してステロイド点滴を11日間おこなって退院した。退院後1ヶ月経った現在は、左目が閉じた状態。口が曲がって食事や水がこぼれる。噛み合わせが悪い。声帯の左側がまったく動いておらず、声は空気がかすれた小さな音で、声にならない。他に顔面神経麻痺と同時に難聴やふらつきが出現するようになった。また糖尿病がありインシュリンの自宅注射を継続してしている。

■診察
[ 初診時]
当院での顔面神経麻痺評価点数は8点。治療は顔面神経麻痺を主訴として治療。反回神経麻痺については病院の耳鼻咽喉科での治療経過と症状の進捗状態を見ながら周囲から治療する事とした。理由は鍼灸治療が初めてで刺激に対する恐怖感と過敏な反応が見られるため、まず顔の歪みを優先し、反回神経麻痺については、局所治療ではなく、周囲および全身に気持ち良い治療をすることで治癒力を高める方法を選択することにした。週2回の来院をお願いした。

[ 9回目]
顔面神経麻痺発症から2か月。当院初診から1ヶ月経過。顔面神経麻痺評価点数は16点。この間目が開けやすくなった。食べ物を食べたり飲んだりするのが楽になってきた。口中のほっぺをあまり噛まなくなった。

[ 17回目]
顔面神経麻痺発症から3か月経過。当院初診から2か月経過した。顔面神経麻痺評価点数は20点。顔がしっかりとした表情になってきた

[34回]
顔面神経麻痺発症から5ヶ月。当院初診時から4か月。顔面神経麻痺評価点数は28点。顔面神経麻痺についてはほとんど分からないまでに回復した。歩行時のふらつきも改善している。2ヶ月後に面前で話す必要があるとの事で、今までは顔面神経麻痺治療を主とし、反回神経麻痺治療を従におこなってきた。反回神経麻痺については声帯の一部に異常箇所が検査で発見されており、西洋医学では経過観察で治療はまったくされておらず、当院では2ヶ月後に向けて反回神経麻痺治療を主として顔面神経麻痺治療もおこなうようにした。

[44回]
顔面神経麻痺発症から6ヶ月。当院初診から5ヶ月経過。顔面神経麻痺評価点数は32点。病院での声帯の検査結果では、動かなかった声帯が動くようになっているとのことだった。また声もかすれ声混じりながらだいぶ出るようになってきた。

[56回]
顔面神経麻痺発症から8ヶ月。当院初診から7ヶ月が経過。顔面神経麻痺評価点数40点満点の36点。反回神経麻痺についてかすれてはいるが、かなり声が出ていて聞き取りやすくなった。この間に大勢の面前で話す機会があった。マイクを使って2時間しゃべりっぱなしだったらしく、ちゃんと話が出来たとのことであった。声帯の異常箇所については良性か悪性か数日後から入院し全身麻酔による検査がおこなわれる予定になっている。本日で顔面神経麻痺および反回神経麻痺の治療は略治とした。

[ 考察]
この症例は風邪や疲労による体調不良時に、ウィルスや水腫等によって、顔面神経、反回神経、内耳の平衡覚、三半規管などが広範囲に侵されたのではないか、と思える症例である。
漢方用語で言ういわゆる水毒が関係したと考えられる。

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