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顔面神経麻痺発症後4か月近く経て尚、目を閉じようとしても見開いたままで瞼がピクリとも動かせず、医師から形成外科を紹介されている重度の顔面神経麻痺症例 57歳 男性

3か月と20日前の朝洗顔中に瞬きがまったく出来ず顔の異常に気がついた。すぐに近医の内科を受診し、そこから大病院を紹介され即日入院となりステロイドの点滴等の治療を1週間続けた。入院時MRI検査等の異常は見られなかったが担当医師からは重度と説明を受け、「最悪の場合は形成外科を紹介します」と言われた。実際退院後初めての受診日に医師から「形成外科にはひと声かけています」と言われた。つまり手術をした方が良いという判断である。当治療院初診時点で顔面神経麻痺発症から4か月近く経つにも関わらず、患側の瞼は開いたままで閉じようにも全く動かない状態であった。

■診察
[ 初診 ]
当院での顔面神経麻痺評価点数は6点。顔面神経麻痺発症から3か月と20日が経過してこの点数は最重度と思えた。前記のように患側の目は開いたままでピクリとも動かせず、口は健康側に引っ張られて偏り歪んでいる。味覚異常もある。週2回の治療をおこなうこととしした。

[ 7回目]
当院初診時から1か月後。顔面神経麻痺評価点数は8点。鼻の正中線の歪みが中央に寄ってきたように見える。仰臥位で目が閉じれるようになった。

[ 14回目]
当院初診から2か月。顔面神経麻痺発症からおよそ半年。顔面神経麻痺評価点数12点。

[ 19回目]
当院初診時から3か月経過。顔面神経麻痺評価点数16点。当院での治療間隔も週2回の治療からご本人の希望で週1回とした。目の開閉が少し動くようになった。病院受診時に担当医から顔面の形成外科手術についての説明を受けた。手術の趣旨は現在目の開閉が出来ないので口の動きに連動して目が開閉するような手術と、口周囲に背中の筋肉を取って持ってくる手術をおこなうとの内容であった。しかし本人は手術はしたくないとの意向であった。

[ 25回目]
当院初診時から5か月余り、顔面神経麻痺発症から8か月が経過。顔面神経麻痺評価点数18点。食事時の涙の量が少くなった。初診当初全く動かなかった座位での閉眼動作が随分動くようになり、上下瞼の間隔が3ミリほどまで閉じることが可能になった。味覚も大分良くなってきた。

[ 32回目]
当院初診から6か月。顔面神経麻痺発症から9か月が経過してついに座位立位での閉眼がゆっくりならできるようになった。顔面神経麻痺評価点数22点。

[ 36回目]
当院初診から7か月が経過。この間病院を受診して担当医師も閉眼が出来ることにびっくりして「ハリで効くのか」と言われたとのお話である。

[ その後の経過]
この患者さんは当院に1年3か月。計58回通院されて略治となった。終わりの頃は月2回程度の来院にもなったが、最終的には顔面神経麻痺評価点数は26点となり、外見上は顔面神経麻痺とは全くわからないまでに回復された。目の閉眼スピードの左右差もあまり無い状態にまでなった。
■考察

顔面神経麻痺担当医師が驚いたように、顔の形成外科手術を受けようかと言う重度の状態から、よくここまで回復できたものと思える症例である。ただ重度だっただけに頬を膨らますとどうしても左右差がでるし空気の漏れもある。また口を開けた時に目がやや細くなるといった後遺症も出ている。顔面神経麻痺発症時点から当院での治療開始時点までにブランクがあったことや、週2回の治療間隔を週1回で行ってきた等の問題も予後と関わるので、こういった点は重度さだけで語れない部分がある。

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