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医師から顔面神経麻痺の手術を勧められ予定日まで告げられ、迷いながら来院された顔面神経麻痺症例 44歳 男性

15日前の夜にしゃべりにくさと顔のひきつりを感じ、翌日病院耳鼻科を受診してすぐに入院となった。入院中は糖尿病があるためステロイドの大量点滴はせず、ステロイド、ビタミンB12、糖尿病薬の服薬による治療をおこなった。12日間入院し入院中に電気生理学的検査を行い、11パーセントの検査結果だった為に医師から顔面神経麻痺の手術を勧められた。しかし手術をしたから顔面神経麻痺が治るとは言えないとの説明も受けた。1週間後に手術をするかどうかの返事をしなければならず、手術を了承したらその10日後に手術日を予定していると告げられた患者様が当院に来院された。

■診察
[ 初診 ]
当院での顔面神経麻痺評価点数は8点である。私の経験上では手術が必要と言われるほどには見えないとお話をした。糖尿病でのhbA1c値は6.6%。仰臥位では閉眼時で2mmほで眼が開いている。味覚異常はさほど感じないが病院の検査では異常があると言われた。遠方からの来院のため1泊して、2日続けて週2回治療することとした。
[ 2回目]
仰臥位で閉眼が可能になった。

[ 3回目]
眼下が少し動くようになった。

[ 5回目]
顔の印象が変化した。頬の膨らましが少し出来る。この間病院耳鼻科を受診し医師から「手術はどうしますかね。少し動きが出てきているので長くなるけど薬を続けていきましょうか」と言われた。

[ 8回目]
顔面神経麻痺発症から50日。顔面神経麻痺評価点数14点

[ 24回目]
顔面神経麻痺発症から3ヶ月と15日経過。当院初診から3ヶ月経過。顔面神経麻痺評価点数20点。上唇が挙がってきてニコッと出来るようになった。

[ 35回目]
顔面神経麻痺発症から5ヶ月。鼻より以下は動きも見た目も、ほぼ顔面神経麻痺罹患前の正常な状態にまで戻った。顔面神経麻痺評価項目の中で最も難しい片目つぶり(ウインク)が出来るようになった。

[ 45回目]
顔面神経麻痺発症から7ヶ月。顔面神経麻痺評価点数が40点満点中40点の満点になった。後遺症状はウインク時に口角がピクピクと動く程度の共同運動が見られるが、ご本人も他人も指摘されないと分からない程度のものである。遠方からの来院でもあり、私の経験上今後の後遺症状もさほど進行しないと判断し一旦略治とする旨を伝えた。しかし患者様は冬場など寒いときに症状の悪化が不安とのことだったので、1ヶ月に2回の治療で経過を観察することとした。

 

■考察

当院初診時は医師から顔面神経麻痺手術か否かを迫られた状態で来院されたが、ほぼ完治に近い状態にまで回復した症例である。ここまで回復したのにはいくつかの良い条件が考えられる。一つ目は7ヶ月間週2回泊まりがけで欠かさずに治療継続されたこと。二つ目は顔面神経麻痺発症から2週間程度で早期に当院での治療を開始したこと。これによって初期段階から顔面神経麻痺の進行を防ぎ、後遺症を睨んでの指導や治療が可能になった。三つ目には刺激の強いマッサージ治療や電気治療、ブロック治療などといった、後遺症を進行させたり、こじらせたり、人間本来が備わっている自然治癒力を阻害させるような治療を一切せずに当院での治療が開始されたこと。上記のような治療は顔面神経麻痺でも後遺症が予想されるケースではこじらせてしまうことが実際の症例上から、また症例を比較する中でわかってきた。この症例は同時期に発症した同程度の患者様と比較して、どういった点が有利に働いたのかを知る貴重な事例の一つとなった。

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