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悪化の過程も無く1回の治療で目が閉じれるようになった顔面神経麻痺症例 41歳 男性

4日前の夕方に顔が自由に動かなくなり、土曜日だったので翌々日に病院の脳神経外科を受診した。そこで脳のCTを撮影したが異常は見られず末梢性の顔面神経麻痺と診断された。ステロイド剤、抗ウィルス剤、ビタミンB12、胃薬を処方され顔のマッサージと、顔面の表情を動かす運動をするように言われた(いずれもやり方の指導は無かった)。仕事が運転業務であるが、目を閉じることが出来ずすぐに目が乾いて痛い為に、眼帯を24時間しているとのお話であった。

■診察
[ 初診 ]
眼帯をされておりそれを取ると痛いとのお話だが、それをはずした上で顔面神経麻痺の評価テストをおこなった。顔面神経麻痺評価点数は10点であった。味覚も昨日あたりから無くなってきており甘みは全く解らないとのことである。しかし顔面神経麻痺発症から4日しか経っておらず、発症後1週間から10日で悪化のピークをむかえるので、本日の顔面神経麻痺評価点数はあくまで参考にすぎず、もう少し状態が悪くなるとお伝えした。治療は鍼灸治療と遠絡療法をおこなった。

[ 2回目]
2日後に来院された。前回治療した翌日から目が閉じれるようになり、眼帯をしなくても目は痛くなくなった。顔の状態も全体に改善されており、一般に予想された顔面神経麻痺の進行過程はたどっていない。

[ 3回目]
顔面神経麻痺によって一時的に失った味覚が正常に戻った。額のシワもほぼ正常になり、口を横にイーッと開く動作もかなり良くなっている。

[ 4回目]
片目を閉じるウィンクが出来るようになり、顔面神経麻痺による症状はほぼ正常な本の状態にまで回復した。ただし口角にやや左右差が見られる。顔面神経麻痺評価テストでは34点となった。。

[ 5回目]
もうまったく正常に見える。顔面神経麻痺評価点数は40点満点である。
本日で治癒とし顔面神経麻痺の治療を終了した。

■考察

顔面神経麻痺が発症すると1週間から10日間は症状が悪化する。この症例でも当院で治療をおこなう前の4日間は悪化の曲線をたどっている。しかし当院で顔面神経麻痺の治療をおこなった後からは、翌日に閉眼が出来て痛みが取れるなど、普通悪化するだろう時期にも関わらず一転して改善に向かっている。このことは顔面神経麻痺に対する鍼灸治療と遠絡療法の効果の即効性を示しているとも言える。軽度の症例とは言え興味のある症例となった。

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