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出産のため里帰りした直後に妊娠9ヶ月で発症した顔面神経麻痺症例 26歳 女性

昨夜洗顔時に顔に違和感がありおかしいと思った。今日の朝起きたら口から水がこぼれて顔が動かなくなっていた為、総合病院の脳神経内科を受診した。そこで末梢性の顔面神経麻痺と診断されステロイドの点滴を2本した。さらに抗ウィルス薬(バルトレックス)、ステロイド薬(プレドニン)、消化性潰瘍治療薬(タケプロン0D)、ビタミンB12(メチコバール)を処方してもらった。現在出産の為に里帰りしており妊娠9ヶ月である。医師からは2週間分の薬をもらったが、「薬を飲むか飲まないかの判断は本人に任せる」と言われた。妊娠中でもあり不安な為にネットで当院を調べて来院された。

■診察
[ 初診 ]
昨日顔面神経麻痺を発症し、今日病院を受診されてステロイドの点滴をしてきたところである。少なくともこの後1週間は顔面神経麻痺が進行すること。したがって今日顔面神経麻痺の評価点数をつけても重度の判定は出来ないこと。当院で行う鍼灸治療および遠絡療法は体への負担はさほど無いが、今日受けた点滴は体への負担が大きいので、当院での今日の治療は軽度の刺激とすることなどを説明して治療をおこなった。また当院で作成した顔面神経麻痺の注意点や顔のマッサージ法のパンフをお渡した。医師から処方してもらった薬を飲むか飲まないかの判断は自身で出来る範疇では無い。そういって薬を出した医師はあまりに無責任だが,とりあえず今通院されている産婦人科で相談されることをお勧めした。

[ 2回目]
顔面神経麻痺発症から5日経過。予想したように1回めの受診時よりも顔面神経麻痺の程度が進んでいる。眼が閉じれなくなり、口角が左へ著明にゆがんでいる。この時点での顔面神経麻痺評価点数は6点。

[ 5回目]
顔面神経麻痺発症16日後。顔面神経麻痺評価点数10点。

[ 11回目]
出産のため本日で一旦治療を中断することとなる。安静時の表情はかなり改善され、口角もほぼ並行になっている。また顔の動きも楽になっているとのお話である。顔面神経麻痺評価点数14点。

[ 12回目]
この間無事にお子さんを出産され約1ヶ月の間隔が開いて来院された。
顔面神経麻痺評価点数は20点。安静時の表情はかなり良い。

[ 15回目]
出産後当院での治療で急激に顔の状態が改善されている。このことをご本人も治療者である私も実感している。顔面神経麻痺評価点数24点。

[ 17回目]
出産のために帰郷されていたが、本日の治療を最後に当院での顔面神経麻痺の治療は終了となる。後は嫁ぎ先にて引き続いて顔面神経麻痺の治療を受けられる予定である。
発症後3ヶ月が経過したところでもあり顔面神経麻痺の後遺症が出るかどうか微妙なところだが、出ると覚悟してその為の予防法と注意点の説明をおこなった。
当院での顔面神経麻痺の最終評価点数は28点。知らない人には顔面神経麻痺ということはまったくわからないところまで回復した。

■考察

この症例は以前にも同様のケースがあったが、妊娠時に顔面神経麻痺に罹患し、出産の間当院での治療を一旦中断して、出産後再度治療をおこなった症例である。あいにく顔面神経麻痺症状の経過を最後まで見届けることはことはできなかったが、顔面神経麻痺評価点数上は満点の40点にまで回復するのはまず間違いない。3ヶ月が経過した時点での残症状をみると後遺症を含めてほぼ完全に近い形にまで回復すると思われるが、他人には解り難い程度の共同運動が出るのではないかと予想している。治療の上で大きな参考にもなるのでその推移が確かめられればありがたい。

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