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妊娠9ヶ月で顔面神経麻痺に罹患し、投薬治療が難しい症例 31歳 女性

現在4人目のお子さんがお腹に居られるという、妊娠9ヶ月の女性が顔面神経麻痺に罹患されて来院された。43日前に昼寝をしていて眼が覚めると顔面神経麻痺になっていたと言うお話である。顔面神経麻痺に罹患される1週間ほど前から、耳の周囲が痛くなり痛みで眠れない日も有ったということだ。顔面神経麻痺は産婦人科で紹介状を書いてもらい、大学病院の神経内科を受診し、MRIや血液検査をしたが異常は見られずビタミンB12のみを処方してもらった。通院は大学病院で近医の総合病院を紹介してもらい現在も通院している。その病院では3週間に1回顔のリハビリマッサージの指導をし、後は自宅マッサージをするよう言われた。
総合病院では筋電計のようなもので検査をしたらしく、末梢神経反応はゼロ。顔表面は3分の2で顔面神経麻痺としては中以上と説明されたようだ。
■診察
[ 初診 ]
当院での顔面神経麻痺柳原40点評価法のスコアは6点であった。相対して目立つのは、口が健側にかなりきつくひっぱられている点である。他には味覚異常がある。また耳に血管が拍動するような音がする。治療は鍼灸治療と遠絡療法をおこなった。また自宅での顔面マッサージと生活上の諸注意点をお話させていただいた。

[ 3回目]
病院で口のゆがみが良くなってきていると言われた。

[ 6回目]
出産予定日の17日前に当院で5回目の鍼灸治療と遠絡療法をおこない、出産の為に一旦治療は中断となった。6回目の治療は32日後におこなった。この間無事に元気な女児を出産された。この時点での顔面神経麻痺の柳原点数評価のスコアは12点であった。

[ 12回目]
当院での鍼灸治療および遠絡療法を開始してから3ヶ月が経過。柳原点数評価のスコアは26点となった。安静時の表情は顔面神経麻痺とわからないまでになっている。

[ その後の経過]
当院での治療開始から1ヶ月の中断があったものの6ヶ月が経過して、顔面神経麻痺の柳原点数評価法では32点となった。後遺症としては瞬きをすると唇の端が小さくピクピクと動くことと、欠伸をすると両目が閉じる。しかしさほど日常の中で問題になる部分ではなく、こちらが質問して初めて気がつく程度である。点数評価法では36点以上を正常とみなしており、36点を目前にして大変順調に経過してきたが、残念ながらこの時点でこの患者様は中断となってしまった。この時点で治療を止めてもおそらく36点になると予想はできる。おそらく出産直後の乳児を含めて4人のお子さんを育てる中で、当院へ通院することは大変だったに違いない。

■考察
妊娠時に顔面神経麻痺に罹患することは、胎児を抱える母親として肉体的にも精神的にも、大変な不安な中でさらに大きな病気を抱えることになる。医療面でも薬を投与するのが難しい時期で、ステロイドなどの副作用の強い薬は処方されず、メチコバール(ビタミンB12)のみが出されている。顔面神経麻痺の程度としては中等度以上であり、当院初診時の40点法のスコアは6点と、明らかに後遺症の残る点数を示していた。さらに出産による体力や精神力の消耗を考慮すると、よくここまで顔面神経麻痺が治ってきたものと思える。この症例は重度に近い顔面神経麻痺だが西洋医学的な治療はほとんどされていないにも関わらず、顔面神経麻痺の順調な回復と最低限の後遺症出現で止まっている。主とした治療法は鍼灸治療と遠絡療法のみであり、その効果がはっきりと現れた症例と言える。

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