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めまい、頭痛、顔の痺れ感の後に耳内にヘルペスが出来て顔面神経麻痺になった症例 43歳 女性

2か月前にマッサージ施術を受けて後に耳の周囲に痛みが出るようになり、3日後にはめまい(眩暈)と頭痛が出てきた。その翌日には顔に痺れを感じるようになり内科を受診した、CT検査をしたが異常はなかった。しかし立ち上がって歩けなくなった為、病院の救急外来を受診し脳のMRI検査をした。しかし脳に異常は見られなかった。ただそこで耳内にヘルペスがあることが判明しハント症候群と診断された。医師からは「ちょっと重症ですね」と言われた。医師の言う重症の根拠は、「顔面神経麻痺にめまいと耳の痛みがあるから」「発症して早く受診したのでそれは良い点だと」とも言われた。その日に入院となり9日間ステロイド点滴と抗ウィルス薬治療を行った。入院して5日目あたりに顔面神経麻痺評価テストを行い8点と言われた。Enog検査もしたが数値は聞かされていない。退院時顔のマッサージのチラシをもらい「自分でやるように」と言われ、「良くなるのに3か月はかかるから気長に行きましょう。半年過ぎるようなら麻痺が残る」と説明された。退院時から2か月経った現在もメチコバールとアデホスの服薬を続けている。当院はネットで検索して来院された。

 

<初診時>顔面神経麻痺発症から2カ月と7日経過

当院での顔面神経麻痺評価テストは10点。医師の言うように顔面神経麻痺にめまい(眩暈)とふらつき症状を伴っており、自分で運転は出来ない。発症後2か月でめまいふらつきを伴う10点は重度の評価である。週2回の施術を行うこととした。後遺症についても日常の注意点と日頃のケアについてお話をした

 

<9回目>顔面神経麻痺発症後3カ月半経過。当院初診から1カ月と10日経過

顔面神経麻痺評価点数12点。この間口が少し緩んで「コップで水を飲めるようになったのがうれしい」とのこと。上唇の感覚が少し戻ってきた。食事時の口中の残渣物を舌で戻せるようになった。施術を開始してからまっすぐに歩けるようになってきたし、早く歩けるようになってきた。「頷くと耳辺りがホワンとする。頭を横に振るとホワンとする」。目は開けやすくなってきた。耳中のゴーゴーと言う音も小さくなってきた。

 

<16回目>顔面神経麻痺発症後4カ月半経過。当院初診から2カ月と10日経過

顔面神経麻痺評価点数16点 めまい(眩暈)ふらつきは10→4程度まで軽減したが夕方になると調子が悪くなる。また食事中に顎を動かすとめまいを感じる。後遺症状の一つである共同運動により瞬きをすると口角あたりが引くつくように動く。後遺症対策および共同運動対策として施術の度に確認をおこなうようにする。

 

<32回目>顔面神経麻痺発症後約7か月経過。当院初診から4カ月半経過

顔面神経麻痺評価点数20点 見た目的にはとても良い。この間今までの病院耳鼻科外来担当医の対応に疑問を感じていたことから病院を転院。耳中でゴーッと鳴る音が鳴らない日が出てきた。発症後7カ月ともなると予後への影響は、顔面神経麻痺評価点数よりも後遺症の方が大きいので、表情筋運動と鏡での顔のバランスチェックを意識してもらうようさらにお願いする。

 

<47回目>顔面神経麻痺発症後約9か月経過。当院初診から約7カ月経過

顔面神経麻痺評価点数22点 「めまい(眩暈)が無くなり日常の動作がすごく楽になった」「ラーメンが初めてすすれてビックリした」

太いストローが吸えるようになった。口を閉じてのうがいでは水が口角から漏れるので手で押さえるとプーっと水を吐けるようになった。

 

 

<68回目>顔面神経麻痺発症後1年経過。当院初診から約10カ月経過

顔面神経麻痺評価点数24点 硬いものを食べると顔が強張る。口内を指や舌で広げても左右の狭さにさほど変わりは無い。両目を強く閉じる力にもさほど左右差は感じない。ただ両目の開閉スピードにまだ差がある。

 

<85回目>顔面神経麻痺発症後約1年3か月経過。当院初診から約1年1カ月経過

顔面神経麻痺評価点数26点 施術を1週間間隔に変更する。普通に対話する状態では顔に顔面神経麻痺症状があるとは他人にはまずわからない。

瞬き時に口元との連動は出るが、口を動かした時の目の連動については、患者様ご自身の共同運動に対する意識と努力でかなり抑えることが出来ている。

 

<116回>顔面神経麻痺発症後約2年1か月経過。当院初診から約1年9カ月経過

顔面神経麻痺評価点数26点 施術間隔は2週間に1回程度になったが、現在も継続的に施術を行い表情筋や肩甲間部などの循環改善、経絡の流れを保つように努めている。

 

(考察)

顔を温める。そして顔のマッサージをおこなう。表情筋のリハビリをおこなう。日頃の表情の動かし方に注意をはらう。そういった本当に地道な努力を2年近く積み重ねてこられた症例である。顔面神経麻痺という同じ病名であっても大半が軽度の方である。重度の方から見れば、また施術者から見ても同じ病気でありながら不公平にさえ思える。その中で患者様ご自身の地道なご努力には頭が下がる。施術者としてももそれに対してお応えしたい。そう思わせる症例である。

 

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