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三度目の顔面神経麻痺を発症した症例 42歳 女性
3ヶ月ほど前に左顔面神経麻痺が発症した。小学生の時に左顔面神経麻痺にかかった事があり、1年半ほど前にも右顔面神経麻痺にかかった。この時は2ヶ月ほどで完治した。今回で3度目の発症である。前回の右顔面神経麻痺の時に治療を受けた病院の神経内科で、3ヶ月間治療を受けてきた。しかし右顔面麻痺の時とは違い症状があまり好転しない為、不安になり1ヶ月ほど前から自宅近くの鍼灸柔整院にもほぼ毎日通院して治療を受けてきた。それでも変化があまり無く、不安になって相談した知人から当院を勧められて来院された。神経内科では2週間かけて多量のステロイド点滴をおこなったようだ。加えてステロイド剤、抗生物質、ビタミン剤の服薬治療をおこなってきた。発症後2週間ほどの時点でENoG検査値が16%だったとのことであった。鍼灸柔整院での治療は顔や体にSSPによる治療をおこなっていたようだ。
■診察
[ 初診 ]
ぱっと見た感じで眉毛の高さが左右で違い、鼻の線がゆがみ口が健側に引っ張られている。40点法をおこなうと14点と後遺症が予想される点数であった。味覚異常と口を開閉すると耳の中で音がするとのことであった。
治療は鍼と遠絡療法を併用しておこなった。治療後の注意点として眼を閉じることができないためサングラスによる眼の保護と、顔を直接寒風にさらさないよう伝えた。また共同運動が出るのを防ぐためのリハビリ指導をおこなって1回目の治療を終えた。
[ 経過 ]
週2回の治療をその後5ヶ月間継続した。この間共同運動が出現しないよう食事や日常の表情作りと、防止のマッサージを自身でおこなってもらった。治療経過は発症後5ヶ月当院での治療開始2ヶ月時点で眼の開閉ができるようになった。同じ頃味覚障害が改善され、口の開閉時の耳内の音が小さくなってきた。この時点で40点法検査値が22点となった。発症後9ヶ月当院治療開始後6ヶ月時点で、眉毛の高さと鼻筋、口のゆがみもほぼ改善され無表情だと顔面神経麻痺発症以前の顔の状態にまで回復した。また食事中の口内での食べ物の偏も水がこぼれることもなく、眼の開閉も正常になった。ただし口を大きく開けると、やや歪みがあらわれ、口の膨らましも少し左に偏る。この時点で目と口元が連動して少し動くが、共同運動としては軽度で済んでいる。くこの時点で40点法検査値が30点となった。改善の状況から見て短期的な変化は望めず一旦略治とした。
■考察
この患者の場合、発症2週間時点でEN0G値が16パーセント、当院にかかった発症3ヶ月時点の40点法が14点とWaller変性による後遺症が予想された。後遺症が出ることを念頭に共同運動をいかに防ぐか指導をおこなってきた。当院にかかった時点で3ヶ月が経過しており、発症後早い段階で来院していただければと、そのことが悔やまれる症例であった。