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重度の顔面神経麻痺による後遺症へのアプローチが功を奏したと思える症例 22歳 男性

半月前に左耳奥に激痛が出現し、翌日近所の耳鼻科クリニックを受診しステロイドと抗ウィルス剤をもらった。翌日クリニックで紹介状を書いてもらい大病院を受診し入院となった。9日間ステロイドの点滴治療をおこないEnog値が入院当初15%、退院前は8%であった。病院の担当医師からは「手術しなければ、以後はビタミン剤程度の治療しか無い」と説明された。退院後医師の説明に不満をもってネット検索をして当院に来院された。

 

<初診時>発症から16日経過

当院での顔面神経麻痺評価テストは6点であった。目は開いたままで閉じようとしても全く動かせない状態である。顔面神経麻痺手術についての意見を求められ、当院に手術後通院されていた実際の症例や顔面神経麻痺を扱う病院について様々な話をした。

 

<2回目>前回施術から3日後

前回の施術時に話の出た大阪の病院を明日受診するとのことであった。

 

<3回目>前回施術から5日後

大阪の病院ではウィルス検査や味覚検査等を行い。顔面神経麻痺評価テストは2点と言われた。手術については「発症から2週間以内が手術対象者であり、それ以上経過した人は手術しても効果が期待できない」と断られたとのお話であった。リハビリについても入院患者が対象と説明されたようだ。

 

<4回目>前回施術から1週間後

最初の変化として表れる仰臥位での閉眼が可能となった。当院初診時に顔面神経麻痺を扱う病院について話をしたが、その中で挙げたもう一つの病院を受診する予定であるとのことであった。

 

<5回目>前回施術から1週間後

顔面神経麻痺評価テスト8点。前回話の出た病院を受診されて顔面神経麻痺手術を行うことになったとのお話であった。

 

<6回目>顔面神経麻痺発症から2か月と6日経過。前回の当院施術から16日後。

10日前に病院で顔面神経麻痺手術をおこなったとのことで、耳後の手術部にはまだ出血の為のガーゼが当てられていた。

手術後の副反応が強く出ており、耳の聞こえが悪くなっていて、耳閉感や音のこもりや響きが強く出ている。自身の声もこもって聞こえる

 

<7回目>顔面神経麻痺発症から2か月半。当院初診時から約2か月経過

顔面神経麻痺手術後患側の耳が聞こえづらく、患側から話しかけられても聞き取れない状態である。食事をすると涙と鼻水が出る。

口に力を入れると耳中でゴゴゴゴと音がする。

 

<10回目>顔面神経麻痺発症から3カ月。当院初診時から約2か月半経過

顔面神経麻痺評価テスト10点。病院耳鼻科での聴力検査では手術前の半分程度まで聴力が回復してきた状態。耳の閉塞感(つまり)は無くなった。自分の声のこもりは10→8。耳の響きは10→10の状態であった。

 

<14回目>顔面神経麻痺発症から4カ月。当院初診時から約3か月半経過

顔面神経麻痺評価テスト12点。目を開閉させると口元が動く共同運動が出ている。この間の病院での聴力検査では聴力は7割ぐらい回復したとのことだった。食べると目と鼻から涙と鼻水が出る。口を動かすと耳中でゴゴゴゴと音がする。担当医に星状神経節ブロック治療について聞いたが、ここではやらないし紹介も出来ないと説明された。自身の声のこもった感じは10→2 耳鳴りも気にならなくなった。

 

<19回目>顔面神経麻痺発症から5カ月。当院初診時から約4か月半経過

顔面神経麻痺評価テスト18点 閉眼可能になったががうっすら光が見える。

 

<23回目>顔面神経麻痺発症から6カ月。当院初診時から約5か月半経過

顔面神経麻痺評価テスト20点 見た目のゆがみが少なく顔が中心線に保たれている。これはご本人の日頃の努力の成果だと思われる。

もちろん共同運動や顔の正中を意識した動きについては、医師からも当院からも説明させていただいているが、ご本人の成果のたまものだ。

 

<その後の経過>

<当院初診時から69回目>現在まで発症から1年9カ月が経過し、病院での治療は終了している。また当院でも1か月に1回間隔での施術となっている。顔面神経麻痺評価テスト26点 点数的には低く見えるが、顔の中心線が保たれておりアイウエオでの目との連動が最小限にとどまっている。もちろん点数的に高い患者に出来ることが出来ないわけだが、実際の日常では点数の高い患者と表情を作った場合を比べてもより自然な表情に見える。

 

(考察)

顔面神経麻痺の客観的な評価の物差しは、一般臨床では顔面神経麻痺評価テストと言える。しかし顔面神経麻痺でも重度の場合に限ると、その後の日常生活で苦しむのは顔面神経麻痺評価点数よりも後遺症状である。発症4カ月前後から後遺症状が出始めるが、発症当初からそれを意識しての表情作りを心がけることが、やがて1年後には後遺症の差として表れてくる。これだけの説明ではなかなか理解しがたいことだが、この症例はそのことを実際例として表している症例である。

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