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医師から「顔面神経麻痺の手術をしても回復は不明で、後遺症だけが残るかもしれない」と言われた顔面神経麻痺症例 15歳 男性

1カ月と20日前に熱と咳が出るようになり右耳周囲が腫れていた。症状の改善が見られず1週間後に近医の内科受診時に顔面神経麻痺と診断された。処方されたステロイドの服薬が呑み込めず5日後に大きな病院の耳鼻科を紹介されそこで入院となった。9日間入院しステロイドの点滴をおこなった。この時の電気生理学的検(ENoG)は6%だった。担当医師から「この数値では手術をしても回復するかわからない。退院時のENoG検査で10%以下なら手術をしても後遺症だけが残るかもしれない」と言われた。そして退院時のENoG検査では8%の結果で、医師から「この数値では良くならない」と説明を受けた。退院後は別の大きな病院耳鼻科を紹介されて通院することになったが、そこの担当医師からも「手術をしても期待はできない」と言われた。

 

<初診時>顔面神経麻痺発症から1か月と10日経過

当院での顔面神経麻痺評価テストは6点。重度である。週2回の間隔での来院をお願いした。

 

<6回目>顔面神経麻痺発症から2か月10日。当院初診時から1か月経過

顔面神経麻痺評価テストは12点。仰臥時の閉眼は可能となり、坐位立位でも閉眼時0.5ミリぐらい開く程度となった。また食べやすくなってきておりストローで水が飲めるようになった。うがいは手で押さえてしている。自宅でのマッサーをお願いしていて本人もしていると言うが、親御さんの監視が無いと年齢面でどこまで厳格におこなっているかは把握できていない。この間病院の耳鼻科の医師から「手術をしても自信が無い」とも言われたようだ。

 

<20回目>顔面神経麻痺発症から4か月。当院初診時から2か月20日経過

顔面神経麻痺評価テストは18点。見た目はわからない程度にまでなっている。患側口角が少し横に広がるようにり、閉眼可能となった。瞬きすると患側の口角から頬が少しぴくぴく動く共同運動が出かかっている。口と目の表情の動かし方を工夫するよう再度確認した。

 

<40回目>顔面神経麻痺発症から6か月。当院初診時からおよそ5か月経過

顔面神経麻痺評価テストは24点。毎日のマッサージのやり方と表情筋運動を再度確認。見た目は顔面神経麻痺とはまったくわからない状態になっているが、動かすと特に眉毛の上りが難しい。

 

<その後の経過>

顔面麻痺発症から1年1か月。当院初診時から約1年間。週2回の治療を行って略治とした。施術終了にあたっては何よりも患者本人が「日常ではまったく困らない。どうもない」と言うことが大きい。ちょうど1年間の区切りをもって施術を終える旨を、10カ月経過した時点でご本人と親御さんに伝えた。1年経過した最終時点の顔面神経麻痺評価点数は32点。表情的には口の横方向への広がりと、患側の眉毛の挙がりの2点が症状として残った。また後遺症としては瞬き時の口周囲共同運動が出ている。

 

(考察)

顔面神経麻痺発症時にかかった2カ所の病院の医師から回復は望めない旨をご本人及びご家族へ伝えられており、当院へは週2回欠かさず通院され施術を受けられた。顔面神経麻痺評価では5か月時点でもご本人からは顔について「まったく困らない」と言った言葉が返ってきた。これについてご家族からは「顔面神経麻痺になったころがひどかったので、それにくらべてここまで良くなればいい」と言った意味なんだろうと話しをされた。顔面神経麻痺の減荷手術についての可否は医師からも、エビデンスがないといった意見や否定的な意見を聞くことがある。顔面神経麻痺減荷手術ではかなりの確率で聴力低下や耳音のつまりなどの術後症状が出る。もちろん耳小骨を取る取らないといった手術方法の違いもあるかもしれないが、どちらにせよ手術にはリスクがあるのは間違いない。私個人は今の時点の考えとして顔面神経麻痺重度の場合でケースによって手術は選択肢として有ると考えている。それには手術後に必ず顔面神経麻痺についての知識と経験のある施術者の鍼治療を受けること。そしてマッサージや表情筋運動などの後遺症に対する管理を行うという条件が付く。

 

 

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