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手首骨折後の上肢の痛みと可動域制限 70歳 女性

3ヶ月半前に自宅で転倒し右手首を骨折した。あいにく12月31日の大晦日だったため救急で病院にかかったものの担当医師がおらず、ギプスの処置をした状態で骨折後10日して手術をおこなった。手術後3ヶ月半経った現在も病院には週2回通院してリハビリをしている。手術をした手首はいまだに腫れて、皮膚表面はテカテカ光って硬く固まった様に見え、屈曲困難状態である。整形外科の医師は「動かせ!動かせ!」と言うばかりであり、リハビリのPTは「そればかりではダメだ」との意見で、どちらの言うことを聞けば良いのか困る。しかし当院に来院された主訴は骨折した手首ではなく、現在患者自身のADLを最も低下させている上腕部から前腕部と肘関節部の痛みである。右上肢は少し動かしただけでも痛みがあり、肘関節の屈曲伸展や物を握るなどの動作がし難い。また就寝時に寝返り動作などで少し腕を動かしただけでも、痛みで目が覚める。以上の症状はだんだんときつくなってきている。現在まで整形外科で医師の治療とリハビリを続けてきたが良い状態に向かっているとはとても思えないとの事であった。
■所見
主訴である上腕部と前腕部・肘関節部に炎症所見は無い。手首は腫れて皮膚が張り、光っていて赤みとやや熱感がある。右肩から肩甲骨周囲はカチカチに硬い。腕は少し動かすと痛みが上腕部から前腕部に出る。

■診察
[ 初診 ]
治療は鍼灸治療を中心に、遠絡療法を補助的におこなった。治療後は肩から上肢全般に軽くなり上肢を動かした時の痛みが軽減した。
[ 2回目 ]
今まで痛みで眠れなかったのが、前回治療してから久しぶりにぐっすり眠れるようになった。疼きと痺れの範囲が、それまで広範囲の面であったものから、一本の線へと変化した。肩の痛みは消失。右手の痺れも消失した。

[ 3回目 ]
今まで辛かった上腕部、前腕部、肘関節部の愁訴が随分と楽になったようである。今回の愁訴の原因は手首(腕関節部)の骨折部が基になって出てきた症状である。手首に対してはこの間整形外科にて注射やリハビリを行ってきているが症状の改善が見られず、炎症と拘縮がいまだにありADLが時の経過ととともに低下しているのが現状である。このまま整形外科で治療を続けても早期の回復は見られそうもない。そこで3回目の治療は骨折部である右手首の治療を行うことにした。まず手首の腫れによってテカテカと光っている炎症を取る治療をおこなった。
治療直後には、腕関節部のテカリが消え腫れが引いて細くなった状態に変化した。また手首の可動域が広がった。

[ 4回目 ]
前回治療してから、骨折以来わかりづらかった右手の触覚が戻ってきた。手首の腫れは殆ど左右差が無い状態にまで引いて肌もシワも正常になった。また当初固定して動かなかった手首の可動域もかなり動くまでになり、病院で3ヶ月間治療を続けて回復がみられなかった症状がたった2回の治療で急激に回復した。

■考察
右手首を骨折した日が大晦日で、手術担当医などの問題から手術が10日後になったことが、回復を遅らせている大きな原因のように思える。その後リハビリ等が痛みと腫れを伴う中で、症状の回復に繋がらずかえって悪化要因に転じてしまった。しかし鍼灸治療をおこなってみて、施術者自身も予想以上の急回復に驚くほどの良い症例となった。

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