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5年前の交通事故後、上肢の痛み痺れと共に右指が曲がらなくなったCRPS症例 30歳 男性 

5年前に1か月間に2度交通事故に遭った。1度目は車の運転中に後方から追突された。いわゆるオカマ。2度目は運転中に右横から追突されたものだ。この2度目の事故から2週間後の運転中に突然上半身に痺れが出現し、両手が硬直して激しい痛みで気絶しそうになった。車を止めて通りがかった人達が救急車を手配してくれて病院へ救急搬送された。それ以後左上肢の痺れ症状は消失したが、右上肢の痛み痺れと、右指の第3指、第4指、第5指の指節間関節全てが曲がらなくなった。病院ではCRPSと診断された。今日まで5年間左手を中心にして右手は第1指(親指)第2指(人差し指)の2本の指を使って生活してきた。現在は右指を動かさなかったり冷えたりした時に、マッサージしないと痛みと突っ張り感がすぐに出現する。

 

<初診時>

右指3,4,5指は指を伸ばした状態で曲げようとすると力が入り反発抵抗しようとする動きが出る。前腕中心に圧痛や動作時痛があり、肩や上肢全体が硬い。

治療は鍼灸治療のみをおこなった。

 

<11回目>当院初診時から3か月経過

この間指を曲げる感覚が出てきた。反対の手で補助しなくても掌までは着かないが、かなり曲げれるようになってきている。握力測定 左手35㎏ 右手6㎏

 

<16回目>当院初診時から6か月経過

指はほぼ正常に曲げれるようになっている。見た目での指の屈伸の左右差は無い。ただし手の掌には着くが、指第1節部分と第3節が左右同じように着くまでにはならない。しかしここまでなるために普段から意識して右指を使って握っている。

 

<31回目>当院初診時から1年2か月経過

右手全指を普通に使って、物を握ったり、書いたりしているので患側を使おうとしなくても自然に使っている。見た目もわからなくなっており、指第1節部分と第3節部分が着くまでになっている。しかし使いすぎるとダルさが出る。

 

<47回目>当院初診時から1年7か月経過

全指とも曲げて同じ側の指同士が着くし差は見られない。しかし使いすぎると上肢全体に凝りや硬さが出るし疲労感が出る。

 

<60回目>当院初診時から1年11か月経過

日常生活ではパソコン、包丁、字を書く、物を持つ等両手を意識せず使っている。たしかに疲れやすさやだるさが出やすいが、意識せず自然に全指を満遍なく使って生活をしている。

 

(考察)

事故から5年経過しており、右指は普段からの3,4,5指は伸ばしている状態からの治療開始となった。CRPSと言う診断名だが一般には痛みが主の筈だが、この症例では痛みが主では無く動きが主である。5年も経過して後にここまで回復したのは、患者本人の日常生活における地道な努力の賜物である。治療者として患者に感謝したい症例となった。

 

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