手が痺れ（しびれ）て物がつまめない・ボタンがはめれない(48歳・男性)

２ヶ月ほど前から両手の掌から指先にかけての痺れ（しびれ）がきつくなった。両手共に痺れているが、比べると右手のほうがしびれがきつい。しかし親指（第１指）は左が動きにくく、物を握ったりつまむなどがし難い。パソコンのキーボードを指でタッピングするとしびれがジンジンとする。痺れの最もキツイ指は両手とも第３指である。整形外科では頚椎６番と７番の間が狭くなっているのが原因と言われた。服薬と週１回低周波治療と首の牽引をしているがまったく改善されない。その為カイロプラクティック治療も受けてみたが、痺れなどの症状に変化はまったく見られない。握力も弱くなってきた感じがしており、今後手の症状がどうなるか不安になり来院された。

■所見
両手に痛みは全く無い。左手は第１指が痺れてグーパーをし辛く、指先の触覚が鈍く細かい物がつかみ難い。チネルサイン（－）

■診察
[ 初診 ]
治療は痺れの最もきつい左手の第３指と、物が握りにくく、触覚異常と巧緻障害のある左手第１指をターゲットに鍼灸治療と遠絡療法をおこなった。治療後第３指の痺れが小さくなり、触覚が戻ってきた。指でタッピングしてもジーンとした痺れが軽くなった。治療前に比べＶＡＳ値
１０→６　第１指の痺れも軽減しグーパーの動作が軽くなった。

[ ３回目 ]
前回治療後からパソコンのキーボードを打っても、指先がジンジンしなくなった。本日の治療後親指（第１指）の動きがかなり改善され、物をつまむ感触も良くなっている。日常に困らない程度まで主訴が改善された

■考察
症状が日常に困らない程度にまで改善されると、多少症状が残っていても一旦略治といったケースにすることが有る。治療者の立場から言えば今後もこのまま継続して治療をおこない主訴を取りきりたいところではあるが、お仕事や金銭的な問題もあると思われるので、患者ご本人の希望に添った形で一定の線引きをし、日常に困らない程度にまで回復した時点で一旦略治といったことになる。痺れに対しては西洋医学も東洋医学も苦手としている。痺れは痛みとは、はっきりと病態を区別する必要がある。少なくとも鎮痛薬やブロック注射と似た発想では痺れは取れない。