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顔面神経麻痺手術(減荷術)後、当院にて1年5ヶ月治療をした顔面神経麻痺症例 49歳 男性
10日前に顔面神経麻痺が発症。その前日は耳後に痛みがあったとのこと。翌日病院の耳鼻科を受診し血液検査を実施し、顔面神経麻痺に対しては「軽度ですね」と言われステロイドの服薬を処方された。発症3日目に当院に受診希望の電話が有り、症状のピークを過ぎた10日目以後に再度予約を取ってもらうように伝えた。発症4日目の耳鼻科受診では中等度と言われた。発症後10日目に当院を受診された。
<初診時>発症後10日目
顔面神経麻痺評価点数8点。一見して患側下眼瞼がめくれて内側が見える変形と口が斜め下に下がっている。現在通院中の病院では顔面神経麻痺の点数チェックや電気検査はしていない。後遺症についてや顔面表情筋運動、顔面マッサージの説明もされていない。味覚障害(-) 県外ではあるが週2回の間隔で来院をされるとのお話であった。
<2回目>
前回治療後のしんどさは無かった。治療後から顔が少し動く感じがした。現在通院している病院の重度判定への疑問や、ステロイド点滴ではなく服薬治療選択をしたことに不審を抱いておられる。
<4回目>顔面神経麻痺発症から26日。当院初診から16日後
この間に居住地の隣県にある病院に顔面神経麻痺の専門外来があり受診した。医師から「ハリ治療は顔面神経麻痺に対して良くない」と言われた。(神経麻痺をWHOは鍼灸の適応疾患に掲げ、東京大学や東京女子医大でも顔面神経麻痺治療に鍼灸治療は用いられている)とのことで、今後の治療はそこの顔面神経麻痺専門外来とペインクリニックに行くとのお話であった。
<5回目>前回治療1週間後
顔面神経麻痺専門外来のある上記の病院の別の医師は、顔面神経麻痺に対する鍼灸治療についての可否について何も言わなかったとの理由から、再度当院で治療を受けたいとの電話があり、継続して治療を行うことを了承した。
<6回目> 顔面神経麻痺発症から37日経過
顔面神経麻痺評価点数14点。顔はしっかりとしてきて経過は順調に見える。
<7回目>顔面神経麻痺発症から40日。当院初診時から1ヶ月経過。
この間大阪の顔面神経麻痺専門外来のある病院を受診したそうで、「相当重度だ。元通りになることは無理だ」と言われたとのお話があった。
<8回目> 顔面神経麻痺発症から50日経過
居住地の病院。隣県の顔面神経麻痺専門外来のある病院。大阪の顔面神経麻痺専門外来のある病院。そしてさらに別の県の病院で顔面神経麻痺の手術を受けることにしたとのお話があった。
<9回目> 顔面神経麻痺発症から65日後。顔面神経減荷手術1週間後
手術を受け1週間入院して2日前に退院したとのことで、当院での治療を継続して行いたいとの電話があった。手術後の顔面神経麻痺評価点数は6点。手術前より点数が下がっている。手術後患側の耳の閉塞感が出ているとのお話であった。
<10回目>顔面神経麻痺発症後69日経過。
鼻以下の歪みがより目立つように見える。手術による一時的な症状の悪化停滞に思える。
<11回目>顔面神経麻痺発症から2ヶ月21日経過
手術を受けた病院での顔面神経麻痺評価点数は4点だった。担当医から手術によって症状改善方向へ動くのは1ヶ月ほど先になるだろうと言われた。
<12回目>顔面神経麻痺発症から2ヶ月24日経過
隣県の顔面神経麻痺専門外来を昨日受診し、「顔については特に今のところ動きは無い。来月あたりから動き始めるだろう」と言われた。
<13回目>顔面神経麻痺発症から2ヶ月27日経過
鍼灸治療を継続している効果と思えるが、目の左右差は表情を作らなければ、差がないぐらいに改善してきた。口を動かすと患側の上唇から頬が動かないので口内の肉を挟むとの事である。
<16回目>顔面神経麻痺発症から3ヶ月8日経過
顔面神経麻痺評価点数14点。やっと手術前の点数にまで戻った。患側の下顎が腫れたように突っ張っているが、針治療後は緩む。仰臥位では顔の左右差は見られなくなった。
<20回>顔面神経麻痺発症から3ヶ月25日。
隣県の顔面神経麻痺専門外来を受診し、「耳と周囲の骨筋の反射検査では動きが見られず神経再生がまだ見られない」と言われた。
また顔面神経麻痺の手術をした別の県の病院も受診し、手術によって神経の再生が一旦停まると言うことは無いと説明された。
<24回目>顔面神経麻痺発症から4ヶ月10日。
顔面神経麻痺評価点数18点。発症後4ヶ月前後で見られる後遺症である共同運動はまだ出ていない。閉眼はまだ出来ない。顔の歪みが改善され中央に寄ってきて、口が動きやすく食べやすくなってきた。食べた時の残渣が少しになってきた。口に水を含んでの水漏れはまだあるとの事。
<27回目> 顔面神経麻痺発症から4ヶ月10日
閉眼出来ず3ミリほど開いている。食べるときに食べ物の残渣がましになっている。舌で口内を押しても狭い感じはしない。口からの水漏れは相変わらずある。
<35回目> 顔面神経麻痺発症から5ヶ月20日
顔面神経麻痺評価点数22点。閉眼出来るようになった。手術をした病院を受診し3~4割回復したと言われた。
<48回目>顔面神経麻痺発症から6ヶ月20日 手術から4ヶ月20日経過
顔面神経麻痺専門外来では65パーセント治ったと言われた。手術した病院では顔面神経麻痺評価点数は24点だった。ウとオの口で目がやや細くなる。
<51回目>顔面神経麻痺発症から7ヶ月
顔面神経麻痺評価点数26点 閉眼スピードの左右差があまり無くなった。額のシワが大分平行になってきた。
<61回目>顔面神経麻痺発症から8ヶ月10日
顔面神経麻痺評価点数28点。手術を受けた病院では34点。顔面神経麻痺専門外来では100点満点の70点と言われた。
うがい時に少し水が洩れる。食事時の口中の食べ物の片寄りは無い。顔のつっぱり感があるが気にならない程度。目をギュッと閉じた感じは無い。
<66回目>
顔面神経麻痺専門外来では100点満点の80点と言われた。
<82回目>顔面神経麻痺発症から11ヶ月
顔面神経麻痺評価点数30点。手術した病院では「良くなっています。もう少し良くなるのではないか」と言われた。
<92回目>顔面神経麻痺発症から1年と10日 当院初診時から1年経過
顔面神経麻痺評価点数32点 週2回の治療間隔を週1回に変更
<103回目>顔面神経麻痺発症から1年と3ヶ月日経過
顔面神経麻痺評価点数36点。顔面神経麻痺専門外来では9割は治ったと言われた。手術した病院での診察は無くなった。
ご本人からは「ほぼ顔面神経麻痺に罹る前にまで治った」とのお話があった。この後2週間の間隔を開けての治療にした。
<108回目>顔面神経麻痺発症から1年5ヶ月経過
顔面神経麻痺評価点数36点。 顔面神経麻痺手術(減荷術)をしても効果があまり見られないような方もおられるが、手術後は熱心に当院を通院され、顔面神経麻痺による顔の片寄りやゆがみ後遺症を最低限に抑えた形で略治に到った。
(考察)
顔面神経麻痺発症当初かかった病院に、顔面神経麻痺専門外来のある病院2カ所と、手術を受けた病院とそれぞれ他県にも関わらず受診通院され、また当院も他県ながら週2回の間隔で1年以上通院をされた。その成果と思える形で、本来なら重度でかなりの後遺症が残ってもおかしくない状態に思えたが、顔面神経麻痺に罹患したとは判らないほどの状態で略治に到った。顔面神経麻痺減荷術の実施と、他県ながら手術後当院へ週2回通院された相乗効果が、大変うまくいった症例となった。