握力低下 交通事故による頚部打撲以後 18歳・男性

２ヶ月前にバイクで転倒し、ヘルメットを着けた上から頭部を打撲してムチウチ状態になった。すぐに外科に運ばれ治療を受けた。頚椎捻挫（ムチウチ）に対してはリハビリテーション専門病院に通院して治療をおこなってきた。上肢に痛みは無いが、左手は手首から指先にまで、右手は第１指、第２指に痺れがある。事故前の握力は右手は４０ｋｇ程度、左手は４５ｋｇ程度有ったらしいが、事故後すぐの計測では２０ｋｇ程度に下がり、当院を受診する３日前の計測では、右手５ｋｇ、左手５ｋｇと、ゴミ袋さえもてない状態にまで下がっていた。高校の授業でボルトを締める作業があるが、その授業さえ受けられない状態になってしまった為、握力回復の治療をいろんな病院や整骨院でおこなってきた。しかしその効果は全く見られず、むしろ下がってきたとのお話であった。

■診察
[ 初診 ]
治療は鍼灸治療と遠絡療法とを併用しておこなった。
治療前　　握力測定値
右手＝５ｋｇ　　　左手＝５ｋｇ　だった
治療後　　握力測定値
右手＝１１ｋｇ　　左手＝１３ｋｇa

治療効果がすぐに数字として現れた。
他県からの来院で、通院時間が２時間半近くかかるが、週２回の治療間隔で治療するようお願いした。

[ ５回目 ]
治療前　　握力測定値
右手＝１０ｋｇ　　左手＝１３ｋｇ
治療後　握力測定値
右手＝１８ｋｇ　　左手＝２１ｋｇ
[ １０回目 ]
治療前　握力測定値
右手＝１６ｋｇ　　左手＝１８ｋｇ
治療後握力測定値
右手＝２５ｋｇ　　左手＝２８ｋｇ
[ １７回目 ]
治療前　握力測定値
右手＝３６ｋｇ　　左手＝３０ｋｇ
治療後　握力測定値
右手＝３７ｋｇ　　左手＝３５ｋｇ

普段の握力が左右とも３０ｋｇ以上にまで回復し、日常生活では不自由ない状態にまでなった。特に右手は事故前の握力の９割程度まで回復した。痺れは両手ともＤＩＰとＭＰあたりに軽く残っているものの、生活上問題のあるレベルではない。当院までの通院は往復５時間以上かかり、しかも親御さんの仕事の合間ということで、並みの努力で出来るものではない。ここまで握力が回復したことで一旦略治ということにした。

■考察
事故の影響は頚椎のみに止まらず。脊柱上を下って仙骨にまで関連しているようだ。完治するまでにはもう少し時間が必要と考えるが、ここまで来れば自然治癒力が回復の手助けをすると考えている。