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数分ごとにくる激しい三叉神経痛の痛みに、涙を流しながら患部に手を押し当ててじっと痛みをこらえる三叉神経痛症例 49歳 女性

12年前右奥歯あたりの痛みで歯医者にかかり歯の治療をした。しかし治療後もずっと痛みが取れず、2年後親不知が原因かも知れないということで大病院の歯科で抜歯をおこなった。しかし痛みが取れないため翌年に他の大病院に転院したところ三叉神経痛と診断された。三叉神経痛に対してその病院では三叉神経の圧迫を取り除く狭窄部を広げる手術が良いとの事で手術を受けた。手術後激痛は取れてジワジワとした痛みに変化した。そのジワジワとした痛みはその後ずっと続きだんだんと激しい痛みに変化してきた為、医師から「三叉神経痛の手術部の癒着によって三叉神経が圧迫されたのではないか」との説明を受けて癒着部分を取り除く手術をおこなった。それから6年が経過し、ちょうど1年ほど前から三叉神経痛の痛みと同じあたりが痛くなってきた。口内炎かとも思って半年前に耳鼻科を受診したが痛みに変化は見られず、4ヶ月前に大病院の歯科、麻酔科を受診し服薬治療をしているが痛みはずっと続いたままで取れない為、2ヶ月前からカイロプラクティックに通院して、顎を動かしたり揉んだり、口の中に手を突っ込んだりする手技治療と、ビリビリとした電気をあて、レーザーのようなものをあてる治療を毎日通院して受け続けている。しかししゃべったり食べたりして口を動かすと激しい痛みになり、何もしなくても5分に1回は激しい痛みが襲って来る。カイロプラクティックの治療者からは痛みをこらえてよく泣くことから、「自律神経から来る痛みではないか」と言われた。当院はご主人がネットで調べて来院された。

 

<初診時>

問診中、しゃべると激しい痛みが出るとのことで、少ししゃべると手で顎を押さえてじっと痛みをこらえる動作をする。こちらもしゃべらくても良いようにうな頷いてもらうようにしたが、それでも3分ぐらいすると顎の辺りを押さえて黙り込み痛みをじっとこらえる動作を繰り返す状態である。治療は鍼灸治療と遠絡療法とをおこなった。毎日三叉神経痛の局所に対するカイロプラクティック治療を続けておられるとのことなので、カイロプラクティックによる局所への物理的な刺激に対して、当院の経絡を利用した微妙な治療は正反対なので、カイロプラクティック治療を続けておられるうちは当院での治療は出来ない旨を説明した。ご本人は当院での治療を続けてみたいとのお話であった。

 

<2回目>

前回治療をしてから、「三叉神経痛の激痛発作が痛くなってから鎮まるまでの時間が短くなった」とのお話であった。

しゃべると痛みが出るので痛み時間や状態を記録した用紙を持って来ていただいた。(以後略治に至まで毎回記録用紙を持参していただいた)

 

<3回目>

前回治療後、話す、食べる、で痛みが出るが5分おきぐらいに出る発作痛が一時消えた状態がでた。ただ局所部に電気が走るようなビリビリ感がある。また治療以前よりしゃべる食べるといった動作がしづらくなったようだとのことだったので少し治療法を変更した。

 

<4回目>

前回治療後からまた元の痛みの状態に戻ってしまった。記録を見ると特に夜間の発作痛の回数が多い。「右下顎の前から4番目の歯の内側の歯茎を中心に、そこから痛みが発生しているように思う」とのお話であった。前回とは治療方法を変更した。

 

<5回目>

記録を見ると、痛みの発作痛の回数が少し減っているものの、消灯しても痛みで眠れないようで、明け方少し眠れるぐらいの状態である。

 

<6回目>

記録を見ると、痛みの回数が減り、発作時間が短くなってきている様なので、前回と同様の治療を行う。

 

<7回目>

夜間の最も発作回数の多い時間帯で発作が1時間に4回程度に減っている。夜中に痛みで目が覚めることも減ったようである。日中も少しずつ口が開けやすくなったようだ。

 

<8回目>

しゃべりやすくなってきた。以前は口を開けようとするとビリビリしたがそれも少なくなったとのことである。

 

<9回目>

日中はほぼ痛みが出なくなった。また痛みで目が覚めることもなくなった。飲食も楽になってきた。歯磨き時には痛みが出る。

 

<10回目>

食事が食べやすくなったので食事の量が大分増えた。痛みの為に減った体重も増えつつある。

 

<11回目>

前回の治療から今回まで激しい痛みは1度も出ていない。ビリッとした痛みは一日5回から10回出る。話しても痛みは無くなり、食事も平気になった。歯磨きは恐る恐るしているが痛みは無い。睡眠も良好。

 

<12回目>

発作がいつ出るのか怖々しながらも、実際の症状はとても良くなっている。歯磨きもゆっくりなら痛くない。小さいビリビリ感が1日に10回程度ある。

 

<13回目>前回治療から1週間後

小さいビリビリ感も1日5回以内になり、強い痛みはほぼ無くなっていると笑顔で話された。食事も会話も歯磨きも問題なさそうなので略治とした。

 

(考察)

現病歴としてこの症例の発端は12年前から始まったもので、激痛発作が短い間隔で起こる三叉神経痛である。加えて2度の手術をしており、癒着による術後疼痛といった側面もある。

ともあれ涙を流しながら手を顎に押し当てて、じっと発作が鎮まるのを頻繁に耐える姿を見てきただけに、比較的短期間で略治に到ったことでホッと胸を撫で下ろした症例となった。

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