耳の中で音が割れて聞こえる。低音障害型感音難聴、突発性難聴　　40才　女性

20日ほど前に朝起き抜けに左耳に水が入ったような違和感があり、翌日には反対の右耳が聞こえづらいような違和感を感じて耳鼻科を受診した。聴力検査で低音が聞こえ難い低音障害型感音難聴であることが判明し、1週間ステロイド、アデホス、メチコバールなどの服薬をして、再度受診し聴力検査をしたが聴力の改善は見られなかった。そこで大きな病院への紹介状をもらい5日間入院して点滴などの治療をおこなった。退院時の聴力検査ではほんの少し聴力がましになっている程度で、あまり改善はみられなかった。しかし実際の生活上では聴力の低下以上に車のエンジン音がワーッと響いたり、相手の声が割れて聞こえたり、自分自身の声がこもって響くので、聴力の低下以上にそのれらの症状の方がつらい。

 

＜初診＞

東洋医学的な検査では脈が沈んで細く気血の流れの低下が見られた。舌には瘀血が見られた。病院退院後に鍼灸治療を一度受けたとのお話であった。施術は鍼灸治療と遠絡療法をおこなった。

 

＜2回目＞前回治療から一週間後

前回治療以後耳に水が入っている感じが消失した。自分の声のこもったような反響音も軽減した。相手の声の割れも軽減したが、賑やかな子供の声は響いて聞こえる。この間に病院耳鼻科で聴力検査をすると前回検査よりは改善していた。

 

＜3回目＞前回治療から1ヶ月後

前回治療後２週間程は周囲の音が割れることも、車のエンジン音が響くことも消失し、自分の声もこもらなくなっていた。その後疲れていると大きな音が割れて徐々に響くようになり始めたが、以前に比べるとかなりましである。

 

＜4回目＞前回治療から11日後

５日前に耳鼻科を受診しての聴力検査では聴力の改善がさらに改善されていた。この間エンジン音は消失し。周囲の音の割れ１０→２に、自分の声がこもって聞こえるのも１０→２に改善した状態で過ごせている。遠方からの来院やお仕事がお忙しいこと。治療間隔が開いても症状は改善されている。今までの他の同様症状の患者の経過を考えるとこのまま愁訴は安定するだろうと考え、悪化の徴候があれば来院する旨を伝えて本日で略治とした。

 

 

＜考察＞

 

治療期間と治療間隔は急性症状と慢性疾患で変わって当然だ。今後も追々掲載するつもりだが、上記のような耳疾患症例は短期間で略治にいたるケースが多い。この症例では治療間隔が開いているので治療を積み重ねての効果では無く、1回の治療で症状の軽減の持続が見られている。