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耳下腺リンパ節手術後に発症した顔面神経麻痺 30歳 女性
1ヶ月半程前に耳下腺部にシコリが出来た為、シコリが良性か悪性かの検査をするため、11日前にシコリの摘出手術をおこなった。検査結果は良性だった。しかし手術したその日から顔の摘出手術側に顔面神経麻痺が出てしまった。手術担当医からは、「手術で神経は切っていない。手術後の一時的な麻痺だから心配ない」との説明を受けた。しかし顔面神経麻痺発症から11日経った現在も状態はまったく変わっておらず不安になって当院を受診された。
<初診時>
末梢性の顔面神経麻痺の一般的な症状とは異なり、口の歪みのみが主な症状である。特に口を「あー」と大きく開くと麻痺側が斜め上に引き上げられるように口が菱形に歪み、小さく開けた時には歪みは見られない。また「うー」や「おー」の口では少し歪みが見られる程度である。耳下の手術縫合部を中心にが硬く大きく腫れていて、見た目でも顎の部分の左右差が確認できる。「あー」と口を大きく開くと下顎の筋が健側に引っ張られるとのことである。
顔面神経麻痺評価点数は40点満点の38点。口を大きく開く動作以外は正常である。
施術は局所を中心に鍼治療を行った。
<2回目>
耳下の堅さが緩み、腫れも一回り小さくなっていた。頭痛と患側の目周囲の違和感の訴えがあったが、施術後は消失した。。
<3回目>
口が開けやすくなり、食べ物の片寄りが減り、舌が動きやすくなった。
<4回目>
「アー」と口を大きく開けた時の歪みかたが少し良くなってきた。
<5回目>
耳下の手術縫合部そのものは硬いが、下顎の腫れは無くなった。
<6回目>
「アー」と口を大きく開けた時の歪みが改善されてきている。
<7回目>
「アー」と口を大きく開けた時の歪みがさらに改善されてきている。
<8回目>
耳下の腫れはすっかり引いており、見た目の左右差も無く、手術前の顔にほぼなったと思える。
<9回目>
「アー」と口を大きく開けた時の歪みはほぼ正常に戻った。
顔面神経麻痺評価点数40点。
顔面神経麻痺発症から週1回の施術をおこない、およそ2ヶ月半で略治となった。
(考察)
顔面神経が顔面神経溝を中心に圧迫された顔面神経麻痺は、10日程度で症状のピークを迎えることが多く、また顔面神経麻痺共通の状態を現す。しかしこの症例の場合は手術直後、下顎の表情筋のみが麻痺症状を起こして歪み、その時をピークに状態の変化が見られなくなっている。また症状は下顎のみで目や鼻の動きは正常である。実際に耳下が硬く大きく腫れていること、手術直後の発症から見て、手術が原因なのは間違いないが、顔面神経溝まで影響は及ばなかったのだろう。
癌検査の為には必要な摘出手術であったのだろうが、局所的な顔面神経麻痺が発症するといった説明はなされていなったようで、医師も予想外だったのかもしれない。