「 この治療で良くならなければ一生治らない 」 と言われた肩関節痛　　７１才　男性

１０ヶ月前に交通事故に遭い、いわゆるムチウチ様の症状で３ヶ月ほど整形外科に通院し、その時の症状は良くなった。しかしそれから１ヶ月もしないうちに今度は肩関節を中心に痛みが出るようになった。肩関節痛は毎年冬になると出るので整形外科に受診しつつ、今までも良く行ったカイロプラクティックに行って、電気治療とマッサージおよびカイロを受けた。しかしこの度は通っても症状がまったく改善されず、カイロの先生から「この治療で良くならなければ一生治らない」と言われてしまった。
■所見
肩関節から上腕部の夜間の疼き（＋＋＋）。発赤（－）腫脹（－）　上肢の挙上はそっと挙げれば可能　物を持ち上げる動作はちょっとした角度（数度）で激痛が出る。クーラーが大好きである。酒は飲まない。
■診察
[ 初診 ]
治療は遠絡療法と鍼灸治療を併用しておこなった。
治療後の肩関節の動きと痛み　VAS１０→２と激減した。
[ 2回目 ]
翌日に来院し治療をおこなった。前日の治療以来疼きは消失。肩関節痛は持ち上げる動作では痛みが消失。上から下へ腕を下げる動作時に肩関節に痛みが出るとのお話であった。治療後はその痛みも消失した。
[ ３回目 ]
前回治療して３日後に予約を取って帰られたが、仕事の都合との事でキャンセルの電話があった。それから１０日ほど後にテニスをして再び激しい痛みが出たとの電話があった。この間大変調子が良かったため、テニスまでしてしまい激痛が出てしまったとの事である。治療は前回同様遠絡療法と鍼灸治療をおこないその場で痛みは消失した。予防の為にも次回の治療をお勧めしたが痛みが無いために予約を取らず帰られた。その後外出した際にお会いしたが、
「調子がいい」とのお話であった。
■考察
この症例の場合は五十肩ではなく肩関節痛である。カイロプラクティックの先生からは「この治療で治らなければ治らない」と言われたケースである。もちろん真意で言われたわけではないだろう。すべての病気に共通するが、西洋医学的にアプローチしようが東洋医学的にアプローチしようが原因を特定できなければ、「治るとも治らないとも言えない」。この場合は単純な筋性の痛みであり１回の治療でほとんどの動きと痛みの改善につながった。しかし実際の臨床では原因のもっと深いものの方が多い。関節の中でも全方位に動く肩関節の治療は難しいと言える。