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臀部から下肢に痛みとだるさと痺れがあり腰部脊柱管狭窄症と診断された症例 78歳 男性

30代に腰部を仕事で骨折し、それ以後ずっと腰痛と下肢痛で悩まされてきた。3年ほど前からはだるさと足首以下に痺れが常にある状態となっており歩くにも支障がある。整形外科では腰部脊柱管狭窄症と診断されている。これまで痛みの激しいときはブロック注射などの治療を行ってきたが、痛みは一時的に軽くなっても痺れにはまったく効果がなかった。しかし冬場に入った2ヶ月ほど前から痛みだるさに加えて痺れが特にひどくなり、膝ぐらいまで痺れを感じてきた。また、それまで15分程度は連続して歩けていたのに、5分程度しか歩けなくなった。また痛みのために足を持ち上げるように引きずって歩いている。その為それまでかかっていた整形外科でブロック注射を受けたが、痛みは1日程度しか効果が無く痺れには全く効果が見られなかった。そこで鍼灸治療を4回と整体に1回行ったが、やはりその時は痛みが少し軽くなってもすぐに痛み出し、痺れには全く効果が無かった。

■診察
[ 初診 ]
痛みは臀部と下腿外側を中心にある。特に立位と歩行時に強い痛みが出る。また安静時と就寝時には疼きがあり、疼きで目が覚めて眠れないことがある。痺れは足の甲側から膝にかけての前面と側面にあり、立位時歩行時に強く出るが、臥位でも体位によってきつく感じる時があるとの事である。治療は遠絡療法と鍼灸治療をおこなった。治療直後立位の状態と歩行動作を行い痺れの状態を確かめた。立位時のVAS10→4と軽減。膝まであった痺れは足首以下に範囲が狭まり強度も10→4に軽減した。治療間隔を開けるとまた10の状態に戻るので、当初は週2回来るようにお願いした。

[ 2回目 ]
3日後来院。痛みと痺れはまた戻ってきているが、初診当初に比べると軽い状態が続いている。疼きはこの間鎮まっていた。

[ 5回目 ]
痺れは足の甲側に残っているが甲の先端側3分の1の範囲で、痺れの程度も当初の3分の1程の感じである。激しい痛みは全く出ていない。歩くと下肢の外側に痛みがあるが当初に比べると5分の1程度で。痛みのために足を引きずっていた歩行がかなり楽になった。

[ その後の経過 ]
週2回のペースで1ヶ月来院され、その後は週1回の治療を3ヶ月おこない、5ヶ月経った現在は2週間に1回の予防的な治療をおこなっている。痛みは歩行時のみに残っているが歩行に支障を来たすほどの痛みではない。歩行距離も10分以上連続して歩けるようになっている。痺れは指先に残っているが気にならない程度である。

■考察
脊柱管狭窄症と言っても様々な原因で脊柱管の狭窄症状になっています。また重度も様々で数回の鍼灸治療で全く正常な歩行になった方もおられれば、すでに脊柱管狭窄症状の手術をされた後に痛みや痺れを訴えて来院される方もおられます。治療は疼きがあれば疼きを止めることを第一におこないます。次に動作時に痛みが有れば動作時の痛みを止めることをおこないます。痛みこそが日常生活を不快にする原因としては最も大きいものと考えているからです。痺れは病態から見れば痛みがさらに進行したものと言えますが、日常生活への障害は痛みと比べるとまだ辛抱できるのではないでしょうか。またしばらく歩くと歩けなくなるという間欠性歩行についても、血管閉塞が原因で出ている場合がありますので重要な鑑別要因と言えます。そしてそれらの治療をしていく中で歩行距離が少しずつ伸びて行くことを、病気回復の物差しとして診ています。

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