アレルギー性鼻炎と診断された頃から匂いがわからなくなってきた　（嗅覚障害）　３８歳女性

１ヶ月ほど前に急性中耳炎とアレルギー性鼻炎になり耳鼻科に通院するようになった。その頃から匂いが分かりづらくなり、現在は生ゴミ、トイレ、シャンプーなどほとんどの匂いが分からなくなっている。しかし無臭ではなく洗濯用の柔軟剤の匂いがかすかに匂う。味覚は甘い辛いなどの区別は出来るが旨みや風味は分からない。

■診察
[ 初診 ]
当院で匂いのチェックをすると、グレープフルーツとラベンダーは無臭。ペパーミントは微かにわかった。
治療は嗅覚に関係する経絡を中心に鍼灸と遠絡療法とを併用した。
[ ２回目 ]
治療後当院で検査に使うグレープフルーツの匂いが微かに匂った。

[ ４回目 ]
子供のオムツを入れたバケツの匂いがわかった。
[ 以後の経過 ]
この方はその後1年8ヶ月経った現在も通院されているが、現在はほぼ完治に近く1ヶ月に1回の治療間隔で通院されている。この間匂ったものは問診で詳細に記録しており、以下に
匂いが分かってきた順に記載する。
[ 1～2ヶ月後]
通りすがりの人の香水の匂い。ご飯の炊けた匂い。味噌汁の匂い。タマネギ、セロリ、ミカンの皮をむいた匂い。シャンプー、子供のウンチの匂いがわかった。
[ 2～４ヶ月後]
シャンプーと石けんの匂いの違い。汗の臭い。インスタントコーヒー。ハンドソープの匂いの違い。生ゴミの匂い。。野菜炒めのニンニクの匂い。煮魚の匂い、ガソリンの匂いがわかった。耳鼻科でペパーミントがよくわかった。
[ ４～６ヶ月後]
家の中のこもった匂い。海岸での磯の匂い。目がよく見える様になってきてメガネをかけずに運転出来るようになった。（嗅覚治療のみに効果が及んでいるわけではないことがわかる）。ピーマン、シシトウの匂い。ケチャップの匂い。和食だしの匂い。他人の噛むガムの匂い。ガスの匂い。檜の匂い。怪我した時の血の臭い。お刺身を食べてとてもおいしく感じるようになった。今まで無臭だったグランドの匂い。匂いの比較（ＶＡＳ）で最も悪かった初診時を１０、正常を０とすると→６という数字である。
[ ６～８ヶ月後]
味噌汁の匂い。鰹節の匂い。薬袋の匂い。通りすがりの人の香水の匂い。タンスを開けた匂い。化粧水の匂い。
[ ８～１０ヶ月後]
お酒の匂い。みりん干し。スーパーのフードコートでの匂い。匂いの比較（ＶＡＳ）で最も悪かった初診時を１０、正常を０とすると→４という数字である。
[ 1０～１2ヶ月後]
バタークッキーの匂い。ファンヒーターの匂い。ミカンの匂い。外に出たときの空気の匂い。車から降りたときの空気の匂い。匂いの比較（ＶＡＳ）で最も悪かった初診時を１０、正常を０とすると→１．５という数字である。
[ 1２～１４ヶ月後]
レモンに鼻を近づけたときの匂い。匂いの比較（ＶＡＳ）で最も悪かった初診時を１０、正常を０とすると→１という数字である。
[ 1４～１６ヶ月後]
匂いの比較（ＶＡＳ）で最も悪かった初診時を１０正常を０とすると→０．８という数字である。
[ １年８ヶ月たった現在]
ご家庭の事情などもあり月に１回から２回の治療をおこなっているが、嗅覚障害の治療ではなく肩こり等含めた体調管理の治療をおこなっている。
■考察
嗅覚障害にはやはり漢方で言うところの水毒が大きく関与していると思われる。それが風邪などを引き金にして嗅覚障害を発生するケースが多いようだ。頭皮、頸部、腹部、下肢を含めて水毒を意識した治療が功を奏する。